“みちのくのイチロー”なる異名をとったのは、もう6年も前の話。巨人加入以降、二軍でキャリアを積み、そして少しの一軍経験を経て、今、シ烈な外野の定位置争いの中で、最後の1枠をつかみ取ろうとしている。5シーズンで二軍505安打のヒットメーカー。いざ、一軍へ、時は満ちた。 取材・構成=坂本 匠 写真=内田孝治、大泉謙也、小山真司 一軍を意識してプレー 満を持しての定位置獲りへ、勝負の1年だ。一軍に比較して試合数の少ない二軍公式戦で年間100安打超えを2度記録するなど、5年間505安打は、もはや二軍の枠に収まる選手ではない。2013年シーズンは夏場以降に一軍に定着すると、35試合の出場で22安打。ファームのヒットメーカーは、トップカテゴリーでも輝きを放ち始めている。 昨年は23試合に先発出場していますが、リーグ優勝が決まった後の試合が大半。それ以前の試合でコンスタントに結果を出せなかったことを反省しています。特に序盤戦、開幕を一軍で迎えたものの、交流戦前に二軍へ……。この期間は2安打だけで、結果を出せなかったですから、悔しいですが二軍行きも当然でした。
一軍再昇格は7月30日。すぐその日の試合(
ヤクルト戦、東京ドーム)で出番をいただき、2安打。この後は打つときは2本、3本と固め打ちできるのですが、打たないときはまったく。波があるところが先発に定着できない弱さだったと自覚しています。一軍には、対戦したことがない投手が数多くいて、すぐに対応するのは簡単ではない。
でも、打てなくてもできることはいっぱいあるはずです。例えば、走者を進めることもそうですし、粘って、粘って四球を選ぶ、出塁することもそう。このオフからキャンプ、オープン戦にかけて、意識して取り組んでいることの1つが、まさにその粘りの部分。追い込まれてから簡単に三振では何にも残らないですから。
はしもと・いたる●外野手/巨人。172cm75kg。右投左打。鶴が丘中(東北シニア)→仙台育英高→巨人09ドラフト4位