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わが思い出のゲーム

斉藤和巳が語る“伝説の試合” 「今でもめちゃくちゃ悔しいですけどね(笑)」

 

ホークスのエースに君臨し、数々の勝利をつかみ取ってきた斉藤和巳。プロとしてのスタートを切った初勝利、そして、あの“伝説のゲーム”を振り返る。


スイッチが入り覚醒した / 2000年6月24日 ダイエー - ロッテ戦(福岡ドーム)


2003年に初の開幕投手を務め、シーズン20勝を挙げてチームを日本一へ導き、04、05年もレギュラーシーズン1位に貢献するなど、常勝軍団ホークスで絶対エースの座に君臨することになる斉藤和己だが、プロ入りから初勝利をつかむまでには、実に4年以上の歳月を要している。3年目に迎えた右肩手術という試練、そのときに時間を共有した小久保裕紀の存在が、プロ初勝利の喜びを倍加させ、プロとして生きていくための“スイッチ”を入れることになった。


 プロ入り3年目に右肩を手術したとき、同時期に手術をしていた小久保さんにすごくお世話になったんです。リハビリだけではなく、そのあとの自主トレも一緒にやらせてもらって、いろいろ教えていただいた。そこから、自分の初勝利のときには小久保さんと一緒にお立ち台に立つということをイメージするようになりました。そう夢見ることが楽しみというか、毎日頑張るモチベーションになっていたんです。

 2000年の6月24日、福岡ドームでのロッテ戦でプロ初先発の機会が訪れました。相手の先発がジョニー(黒木知宏)さんだったので、試合前から楽しみでした。本当に全盛期のころで、大好きなピッチャーの1人でしたから。勝てないかもしれないけど、これは思い出に残るな、でも勝ちたいなって。

 試合は投手戦になりました。2回裏に小久保さんがソロホームランを打って、それ以外はゼロが続きました。結局、7回まで無失点。そのあとを先輩たちが抑えてくれて1対0で勝ちました。初勝利を挙げた僕と、ホームランを打った小久保さん。2人でお立ち台に上がりました。「こんなことってあるのかな」という感じでしたね。ずっと夢に思い描いていたことが、本当に現実となる。お立ち台に立っているときも夢心地でした。頑張れば、自分の力で何かを実現することができる。これはたまらない、これがこの世界の魅力なのかって。

 そこで何かバチンとスイッチが入ったんです。それまでもプロとしてやっていくスイッチを入れていたつもりだったんですが、「この瞬間のためなら、いくらでも頑張れる」という気持ち、何かしんどいことがあっても、「いや、頑張ればまたああいうことが待っている」というモチベーション。小学校で野球を始めてから、そんな感覚になったことはありませんでした。まさにスイッチが入った、覚醒した感じでしたね。だからあの初勝利が、いろいろな意味で本当のプロとしてのスタートだったのだと思います。

“いい思い出”ではないが / 2006年10月12日 日本ハム - ソフトバンク戦(札幌ドーム)

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