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野球浪漫2014

楽天・長谷部康平 試練を乗り越えて

 

栄光と苦悩。大きな注目を浴びてドラフト1位で入団した男に、幾度となく試練が襲う。左ヒザ痛との闘い、試行錯誤の投球フォーム、手術後の壮絶なリハビリ、そして両親の死。苦しみに耐え抜き、悲しみを乗り越え、復活の舞台へ。長谷部康平は強くなって戻って来た。
文=田辺泰樹(楽天イーグルス広報)
写真=桜井ひとし、BBM




天国と地獄を味わった1年


 まばゆい光を放っていた。2007年11月の大学・社会人ドラフト会議。北京五輪アジア予選メンバーにアマチュアから唯一の選出を果たした長谷部康平は、5球団から1巡目の指名を受けた末、楽天に入団した。

「入りたいと思っていた球団でした。これからさらに力を付けて、もっと上位に行く勢いを感じています」。

 当時は、球団創設3年目で最下位を初めて脱し4位に躍進。岩隈久志(現マリナーズ)、田中将大(現ヤンキース)と並ぶ投手陣の柱へ――。黄金ルーキーに対する期待は、大きく膨らんだ。

 光は輝きを増す。プロの世界で、実力を早々に見せ付けた。08年3月2日、ロッテとのオープン戦(長崎)。先発として5回63球を投げ、1安打無失点の好投を見せた。173センチ、70キロの体からテンポ良く投げ込む。伸びのある直球とスライダーに加え、変幻自在のチェンジアップが冴え渡り、5つの三振を奪った。

「自分の力で勝負ができたので充実していました」。

 野村克也監督(当時)も「新人王を狙ってもらいましょう」と太鼓判を押し、開幕先発ローテーション入りを早くも確定させた。

▲07年秋のドラフトで楽天に入団[下段一番左が長谷部]。即戦力左腕として大きな注目を浴びてプロの門をたたいた



 光と影。順風満帆に見えた滑り出しの裏で、長谷部の野球人生は静かに狂い出していた。この試合の1回表、飛球を追い駆け、野手との交錯を避けた際に悲劇は起きる・・・

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