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日本ハム・谷元圭介「常に危機感は持ってます」

 

昨季はロングリリーフ、ワンポイント問わずマウンドに上がり、貴重なリリーバーとしてチームを支えた。大活躍の1年となったが、それまでの道のりは平坦ではなかった。社会人での下積み、プロ入り後の苦労を振り返る。
文=池田晋、写真=神山陽平、高原由佳、BBM



大学時代に武器を発見


 子どものころ、アメリカに住んでいた谷元圭介は、周りの友だちと一緒にサッカーをしていたが、日本へ帰国後、小学3年生からは野球を始めた。それから中学、稲生高と進む中でも続け、「肩が強いから」という理由で、最初は嫌々ではあったが、ピッチャーになった。

 当時は無名の存在で大学からの誘いもなく、中部大のセレクションを受け、合格した。そこで出会った監督に、プロで生き残るための、自分の武器を見つけてもらった。

「中部大の監督に“上からの角度も武器になるけど、下からの角度で投げられる投手はそれほど多くない。それを武器にしなさい”と言われました。それから、低い軌道からの速球に自信を持ち始めました」

 大学時代もプロからの誘いはなかったため、新潟のバイタルネットで野球を続ける。しかし、仕事をしながらプレーするのは生易しいことではなかった。

「朝7時から夕方5時まで仕事です。その後に練習すると、終わるのが夜11時ごろになるときもある。週に2回は朝5時に起きて筋トレもしてました。仕事と野球を両立させるのは本当に大変でした。間違いなく、今よりたくさん練習していましたね」

 環境も厳しいものだった。夏は暑く、冬は寒い。しかも、現在多くの時間を過ごす札幌のように暖房設備が整っているわけでもなく、市内に地下道が発達しているわけでもない。家は隙間風が入るので寒い。当然、札幌ドームのように冬でも暖かい球場もない。冬は外で練習することができず、体育館でのトレーニングしかできなかった。

「あまり恵まれた環境ではなかったですが、その中で成長できたし、ハングリー精神が磨かれました。今は恵まれた環境なので、いつもそれに感謝しながらやれています。あの2年間があったから、今の成績に満足せず、常に危機感を持ってできていると思います」

 社会人で野球を続けたころからプロ入りを具体的な目標として考えるようになった。「3年やってプロに行けなかったら地元に帰ろうと思っていた」という。

 社会人1年目からエースとして台頭。チームを6年ぶりの日本選手権に導いた。翌08年にはTDK千曲川の補強選手として都市対抗にも出場した。徐々にプロのスカウトの目にもとまるようになり、日本ハムのスカウトから入団テストを受けないかと誘われた。しかし、谷元は一度そのオファーを断ってしまう。

「入団テストを受けるためにチームを抜けてしまうと、秋の選手権があったので迷惑をかけてしまう。だから、一度断りました。でも監督が“そんなことよりもプロを目指してやっているんだから、受けてきなさい!”と言ってくれたんです。あの言葉がなければ、現在こうしてプロ野球選手になっていなかったので、感謝しています」

バイタルネットで2007年の日本選手権に出場。富士重工業を8回まで0点に抑えたが、9回に崩れサヨナラ負け。1回戦敗退となった



1年目から開幕一軍に


日本ハム、2008年の新入団選手発表会見。後列左から谷元、杉谷、梨田昌孝監督、矢貫俊之榊原諒。前列左から中島卓也土屋健二



 ほかにも杉谷拳士らが受けた入団テストでは打者6人に対して5三振を奪い、自分の力は存分に出し切った。これでダメなら仕方がないと腹をくくったという。結果は見事に合格。08年秋のドラフト会議で7巡目に指名され、日本ハムに入団した。

 24歳の新人は当然、即戦力として期待された。谷元はオープン戦で結果を残し、開幕一軍を勝ち取る。「みんな開幕一軍を目標に掲げますけど、開幕だけ(一軍に)いても仕方ないので、自分は一軍定着です」と視線はほかの新人より先を見ていた。結果、その年の12球団の新人選手の中で最も早い、4月18日には初勝利をマーク。

 中継ぎとして24試合に登板し、まずまずのスタートを切った。しかし、2年目は二軍で過ごす時間の方が長くなり、危機感を覚えた。ペナントレース終了後に出場した秋のフェニックスリーグが転機となった。

 それまでは、打たれるのが怖くてコーナーを狙って投げていたが、ボール球となって、四球が続いて走者をためてから打たれるという悪循環に陥っていた。だが、コーチの助言により・・・

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