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NPB史上初のイタリア人選手である。4年間のマイナー生活で2A止まりとメジャーでのプレーは叶わなかったが、活躍の場を求め日本へやってきた。NPB4年目の今季はロングリリーフもこなせる貴重な中継ぎとして、故障者が相次ぐオリックス投手陣を支えている。
文=喜瀬雅則(産経新聞)、写真=佐藤真一

カルチョの国から


 2015年3月10日。

 アレッサンドロ・マエストリは東京ドームのマウンドに立っていた。しかし、この日はオリックスのユニフォームではなかった。その胸のロゴは『EUROPE』──。NPB史上初のイタリア生まれ、イタリア育ちの“生粋のイタリアン”は、欧州代表の一員として、日本代表『侍ジャパン』と対戦していたのだ。

 第1戦の2番手として登板したマエストリは、3回1失点の好投を見せた。翌11日には、プロが参加するようになった00年のシドニー五輪以降では、日本のトップチームとして、欧州のチームに初黒星を喫している。野球が決して盛んとはいえない欧州の選手たちのパワーと実力に驚かされた野球ファンも多かっただろう。マエストリも「ヨーロッパのレベルもゆっくりなんだけど、上がってきているんだ。メジャーと契約する若い有望な選手も増えているからね」とヨーロッパの野球界の現状を、こう説明してくれた。

これまでイタリア代表としてWBCに3回連続出場を果たしているマエストリ。3月には欧州代表として侍ジャパンと対戦した


 カルチョの国・イタリア。

 イタリア半島は“長靴の形”にたとえられるが、それを履いたとすれば、ふくらはぎの頂点とヒザの裏側の中間点あたりに位置するリミニでマエストリは生まれ育った。「サッカーより野球がポピュラーな町が、イタリアにもいくつかあるんだ。自分の小学校でも、野球の“プロモーション”があったんだ」と4歳年上の兄・フランチェスコさんの影響もあり、6歳から野球に取り組んだ。

 その素質が開花する大きなきっかけがあった・・・

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