週刊ベースボールONLINE

野球浪漫2016

“変則右腕” 巨人・田原誠次「究極の脇役でいい、主役を支えられたら」

 

キッカケは肩、ヒジ痛。補強選手から巨人指名



写真上が伯和ビクトリーズの補強選手として都市対抗に出場したときのもの。この頃にはサイドスローの基礎は出来上がり、現在[写真下]に至る


 ピッチャー転向直後は野手との兼務だったが、2年秋の公式戦で「まずまず」(田原)のピッチングを見せ、ピッチャー専任に。ここで問題となったのがコーチの目にも留まった独特の投法だ。オーバースローに比較し、サイドスローは体をねじる必要がある分、「下半身が強くないと、しんどい投げ方なんです」。投球練習を終えると、たびたび、下半身に張りを覚えたため、秋季大会終了後は冬のトレーニング期間を利用し、走り込みなどを「人一倍頑張りました」。効果はてきめん。太ももはひと回り太くなり、体全体がサイズアップ。暖かくなるにつれ、成果はボールにも現れる。秋の時点では120キロを超える程度だった球速が、一足飛びに140キロ超を計測。これには本人も驚きを隠せなかったという。とはいえ誰かに教えを請うたわけではない。ただでさえサイドスローは稀少。周囲に手ほどきしてくれる存在もない。ただし、本人は貪欲だった。

「教材が少なかったので、自分で考えてできた、というのはあると思います。ブルペンでも一球投げるごとに考えに、考えて。いかに良くなるかと繰り返していました」

 試行錯誤し、自らを磨いていった。

 サイドから140キロオーバー、持ち球も豊富で、カーブ、スライダーに当時は落差の大きいフォークボールまで操り、高校生では打ち崩すことが難しいピッチャーへと変貌した。簡単に抑えられ「投げていて、めちゃくちゃ楽しかったですね(笑)」と充実した日々を送り、このころから「プロを意識し始めました」と言う。

 上のレベルを目指すからこそ、向上心も高まっていく。ある練習試合では・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

野球浪漫

野球浪漫

苦悩しながらもプロ野球選手としてファンの期待に応え、ひたむきにプレーする選手に焦点を当てた読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング