甲子園で地元の星となり、育成1年目には堂々たる活躍。才気に満ちた若武者の輝かしい未来はしかし、いつしか暗闇の中にあった。懸命にもがき、あらゆる場所で腕を振った昨季、プロ野球選手として大きく成長し、再び栄光へと足を踏み出した。 写真=榎本郁也、BBM エースとの自主トレが転機。しかし直後に大激変が
「この試合で人生が変わる」。そんな覚悟と意気込みは、蒼空にのびる放物線とともに消え去った。晴れ渡った南国の空が、あまりにも皮肉に映る。2015年2月14日、
中日一軍キャンプ地の沖縄・北谷球場。シーズン初の対外試合となる韓国・サムスンとの練習試合で、育成2年目の
岸本淳希はマウンドに立ちつくした。9回に登板し、一死から3連打を浴びて満塁に。「ゲッツーを取れれば」。淡い期待を抱いて左打者に投じたスライダーが、吸い込まれるように真ん中に入る。直後、ライナーで右翼スタンドへ。翌日には、荷物を二軍の読谷球場へと運んだ。
この上ない出だしのはずだった。キャンプインからわずか3日目で一軍に合流。インフルエンザで離脱した投手の代わりとはいえ、背番号202にとっては大抜てきに違いない。
「緊張よりもうれしさのほうが大きい。気持ちを抑えられない」。目の前に用意された絶好のアピール機会。およそ3カ月前の契約更改の場で、当時の
落合博満ゼネラルマネジャーからかけられた言葉を思い出していた・・・
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