昨年の開幕直後に日本ハムから金銭トレードでDeNAに移籍。4月にはリリーフとして3連投を含む9試合に登板し、傾きかけた中継ぎ陣を救った。しかし、直後に落とし穴が待っていた──。 写真=福地和男、BBM 移籍直後のフル回転悲鳴を上げた右肩
初めての経験だった。
藤岡好明は驚き、少し申し訳ない気持ちにもなった。
「自分でやってしまったことなのに、気を使っていただきました。来年やらなきゃいけないな、と思いましたね」 昨年12月の契約更改だった。席に着くと、
高田繁GMに頭を下げられた。「投げるペースが早かったから、心配していた。投げさせ過ぎてしまったな……」。開幕直後、金銭トレードによってDeNAへ加入。中継ぎの一角として大きな期待を背負った。4月5日に出場選手登録。6日の
中日戦[ナゴヤドーム]は1回1安打無失点と好スタートを切った。8日からの
ヤクルト3連戦[横浜]ではすべて登板。まさにフル回転だった。
「新鮮な気持ちでした。あれこれ考えず、自分にできることを全力でやる。結果を恐れず、思い切って投げられていた」 無我夢中で右腕を振り、24日の
巨人戦[東京ドーム]まで8試合連続無失点。順調そのものだった。
31歳。
ソフトバンク、日本ハムとパ・リーグを主戦場としてきた。「大丈夫。自信を持って」。
ラミレス監督にはセ、パの野球の違いを伝えられ、温かく迎えてくれた。心身充実。ところが、2日後に事態は暗転した。26日の中日戦[横浜]。リリーフでマウンドに上がった7回の投球中、右肩に異変を感じた。
「自分自身の調子も良かったし、さらに上がってきたところでした。急に『バチン』と切れた感じがして……」 激痛に顔をしかめた。続投不可能。そのままベンチ裏へ下がり、翌27日に出場選手登録を抹消された。全治は約2カ月。右肩後背筋の肉離れだった。
「チャンスをもらえたことはありがたいです。打者の左右に関係なく、強気の姿勢でインコースに投げられるのが持ち味。そこを強調していきたい。ベイスターズファンは熱狂的。その中で投げられることは幸せです」。入団会見では力強く決意表明し、横浜へやって来た。ベイスターズの力になりたいと心に誓い、そのために働く覚悟だった。3、4月は29試合で9勝2分け18敗。チームが開幕ダッシュに失敗する中で9試合に登板し、防御率1.13と奮闘していた。それだけに、藤岡本人が受けたショックは相当。地道なリハビリが始まった。
「ケガをしてもいいぐらいの意気込みではいました。全力でやってきた分、仕方ないという気持ちと……。後悔はしてないんですけど・・・
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