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野球浪漫2017

巨人・寺内崇幸 確かなる自信 「僕たちみたいな存在がいるから、一流の選手が輝ける」

 

9月5日の中日戦[松本]、延長11回一死二、三塁で左翼場外へ、初のサヨナラ本塁打を放つ


出番は決まって、試合終盤の緊迫した場面で訪れる。代打では失敗の許されない状況で犠打を決め、試合終盤に内野のポジションに就けば、安定したボールさばきでアウトを重ねてハイタッチの輪に加わる。寺内崇幸、34歳。プロ11年間で磨き上げてきた技は、チームの勝利に欠かせないものとなっている。
写真=西村海(読売新聞東京本社運動部)、写真=桜井ひとし、松田杏子、BBM

集まった報道陣は2人。静かに燃やした闘志


 9月5日の中日戦。長野県松本市で行われる巨人戦は26年ぶりとあって、市民球場は試合前から熱気に包まれていた。試合は、巨人のセットアッパーの西村健太朗が7回に5点を奪われて逆転を許し、劣勢のまま、3点を追って9回を迎えた。長野久義の適時打で1点を返した後、二死一塁で打席に入ったのは売り出し中の宇佐見真吾。地面すれすれの変化球をすくい上げると、打球は右翼席へと飛び込んだ。起死回生の同点2ランで、試合は一気に振り出しに戻った。

 この押せ押せムードの中、試合にケリをつけたのが寺内崇幸だ。7回から二塁の守備で入っていたベテランは、延長11回一死二、三塁でこの日3度目の打席に立った。150キロを超える速球が武器の右腕・福谷浩司に2球で簡単に追い込まれたが、バットを短く持って粘り続ける。そして、7球目の151キロを思い切り良く振り抜くと、打球は暗闇を切り裂くように左翼スタンドを超えて、場外へと消えていった。

 プロ初のサヨナラ本塁打の余韻もそのまま、ダイヤモンドを駆け抜けてホームインすると、チームメートから手洗い祝福を浴びた。

9月5日の中日戦[松本]でのサヨナラ本塁打後、ホームベース付近で高橋由伸監督に抱きしめられる寺内崇幸


「プロ野球生活で一番というくらい、会心の当たりだった。本当に最高でした。宇佐見の本塁打で追いついていないと、あの打席もなかったですし、最後もみんなが必死につないでくれたので、打席で何とかしたいという気持ちだった。ボールに当てれば何かが起きると思って打ちにいきました」

 普段は日の目を見ることの少ない守備の人が、一躍ヒーローとなった瞬間だった・・・

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