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野球浪漫2017

阪神・俊介 愚直に謙虚に 「(若手が活躍し)まずいな、悔しいな、という気持ちが強かった」

 

6月13日、西武戦で甲子園初アーチを放ち、金本監督[左]とタッチする俊介


2016年、金本知憲監督就任後「超変革」のスローガンの下、若手育成を行ってきた。その若手が躍進した昨年、中堅選手たちはどこか置いて行かれているような立場になった。俊介もその一人。危機感の中で、体も心も進化させた俊介は、今季後半戦、特に終盤には一番・中堅の座をつかみ取るまでに成長した。
文=佐井陽介(日刊スポーツ新聞社)、写真=前島進、BBM

イチかバチか、危険な賭けへ


 大好きな釣りは行けても年に2、3回らしい。趣味を聞かれれば、映画観賞と即答するようになった。俊介は今秋の高知安芸キャンプ中も休日になれば、映画三昧の空間でリラックスしたという。「休みの日だったらストレッチとかしながら、平気で2、3本は見ちゃいますね」。ポータブルDVDプレーヤーをチーム宿舎に持参。最近のお気に入りを問うと、『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』という作品だと笑った。

「良かったですよ。一流レストレンのシェフが、有名な料理評論家が来店したときにオリジナルな料理を作ろうとしたのに、店のオーナーからメニューどおりに作るように指示されて酷評されて……。そこからいざこざがあって店を解雇されて、キューバサンドの移動販売を始めて、本当の幸せに気づいていく、そんな内容の映画でした。やっぱり人って、どんなことでもバネにして頑張れるんだなって思いますよね」

 苦悩をバネに──。心身の疲労を取り除くための時間まで、最終的に野球と向き合う活力に変えてしまうところが俊介らしい。広島の強豪、広陵高時代は春のセンバツ大会で日本一に輝いたばかりのチームで1年夏から主軸。関西の名門・近大に進学後も1年時からレギュラーを張り続けた。学生時代に超エリート選手として名をはせた男は、8月に30歳の誕生日を迎えて、驚くほど泥臭くがむしゃらなスタイルに変貌を遂げていた。

「とにかく危機感しかなかったんです。心配はありましたよ。このやり方が本当に自分に合っているのか・・・

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