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野球浪漫2017

DeNA・荒波翔 Show Timeはこれからだ 「気持ちを切れば、そこまで。そういう姿は必ず自分に返ってくる」

 

今季は二軍で過ごす時期も多かったが、何よりポストシーズンで戦力になれなかったことで悔しさを味わった/写真=井田新輔


かつて2度のゴールデン・グラブ賞を獲得した俊足巧打の外野手が「復活」に向けて、気持ちを新たに決意の再スタートを切った。高校、大学、社会人とプロで過ごした7年間で得た多くの出会いを財産に、背番号「4」は強い責任感をにじませる。
写真=井田新輔、太田裕史、BBM

切らさなかった気持ち。現実を正面から受け止めて


 着実に力をつけ、人気球団として地位を固めつつある。セ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がり、DeNAは日本シリーズまで駒を進めた。レギュラーシーズンで94勝を記録したソフトバンクに対し、本拠地の横浜スタジアムで2勝を挙げる大健闘。しかし、本来ならいるべき男が、最後までグラウンドに立つことはなかった。

「今の立場で何を言っても、説得力がない。結果を出して見返したい。その気持ちだけかもしれないですね」

 現実を受け止め、静かに言葉をつないだのは12月1日。横浜市内の球団事務所で契約更改に臨む前に、荒波翔は横須賀・ベイスターズ球場へ愛車を走らせた。「やるしかないので」とマシンを相手に打撃練習。考えるよりも行動した。

 47試合で打率.226、0本塁打、1打点。紛れもない今季の成績だ。快足でならしたプレーヤーにとって、2年連続で盗塁ゼロは屈辱ともいえる数字。若手の突き上げをモロに食らい、つらく苦しい1年を過ごした。外野のレギュラーは左翼から筒香嘉智桑原将志梶谷隆幸で盤石。バックアップでは、乙坂智関根大気らが伸び盛りで、シーズン終盤には細川成也という楽しみな新鋭まで台頭してきた。高卒1年目でプロ初打席初安打初本塁打の離れ業。CS、日本シリーズとポストシーズンでも安打を放ち、ラミレス監督に強烈なインパクトを与えた。

「言い表せない悔しさがありましたね……」

 31歳。チャンス自体が少ないことを悟りながら、一軍の試合から目を背けることはなかった。

「気持ちを切れば、そこまでですからね。そんなことをしても仕方ない。そういう姿は必ず、自分に返ってくる。CS、日本シリーズもそうです。何かのきっかけで一軍に呼ばれれば『一発逆転してやろう』という思いでいました。まぐれでもいいから、打って見返したかったですけどね……」

 逆境に下を向かず、力に変えようとするものは何なのか──。

 過去の記憶をたどり、1人の先輩に感謝の言葉を向けた。

「ヒチョリさんと出会っていなければ、簡単に気持ちが折れていたかもしれませんね・・・

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