週刊ベースボールONLINE

野球浪漫2018

オリックス・中島宏之 定めぬゴールへひた走る──。 「追い込まれたら、もう1人の自分で勝負。違うスタイルの自分で」

 

苦境や困難も楽しめる心がある。西武時代に日本一、WBCでは世界一に輝き、メジャーにも挑戦する中で、一貫して抱いてきた思いは、うまくなりたい、新しい何かを知りたい──。まもなく36歳を迎えるプロ17年目のバットマンは、自ら定めぬゴールへと走り続けていく。
文=米虫紀子(スポーツライター)、写真=高塩隆


打撃の指針


 ほっと神戸で行われた6月22日のソフトバンク戦で、中島宏之は今年初の猛打賞を記録した。いずれも内野と外野の間に測ったように落ちるシングルヒット。特に1、2打席目は走者がいる状況で、難しいボールを外野の前に“置く”かのように巧みに運んだ。

 翌日、「『あそこに落とそう』と狙ってコントロールしたのですか」と聞くと中島はこう答えた。

「それはいろいろです。落とそうと思ってもできひんときもありますけど、当たる瞬間の感触というか、力の加減というか、そういうもので落とせるときもある。昨日の2本目はスライダーをバットの先のほうで、あんまり強く振り過ぎずにポンと当てたら、まあ間に落ちるやろうなとは思いました。それ以外は、そういうふうに狙っていないけど、バットの角度がよかったら1本目みたいに多少、詰まり気味でもライトの前に落ちますね」

 打席の中には2人の中島がいる。スタンドへの華麗な放物線も描けるアーチストの中島と、野手の間に狙いすましたようにしぶとく運ぶ職人の中島だ。

 そのベースは西武時代に・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

野球浪漫

野球浪漫

苦悩しながらもプロ野球選手としてファンの期待に応え、ひたむきにプレーする選手に焦点を当てた読み物。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング