球団史上初の3連覇へ突き進む広島。近く実現するであろうその瞬間に、マウンドの上に立っているのは、おそらくこの男だ。中崎翔太。カープの守護神を務める26歳は、一昨年、昨年と、優勝決定の瞬間をマウンドで迎えてきた。ただ、ドラフト5位での入団から、若くしてチームの守護神となるまでには、やはりいくつもの壁と、それを乗り越えた道程があった。乗り越えるのを手助けしてくれた、さまざまな人たちとともに──。 文=坂上俊次(中国放送アナウンサー) 写真=BBM あきらめない才能
悲鳴をあげたのはランドセルだった。小学校1年のとき130センチだった身長が毎年のように10センチ近く伸びたのだ。身長180センチの小学6年生は、ランドセルでなくショルダーバッグで通学するようになった。
「実家が農業をやっていて、野菜やお米を作っていました。ですから、とにかくたくさん食べていました」 中崎翔太。人懐っこい笑顔を浮かべる26歳は、マウンドに上がると鬼の形相に一変。カープ不動の守護神として2年連続の胴上げ投手にもなった。今シーズンは、球団史上4人目の通算100セーブをマークするなど、チームの3連覇に向けてフル回転を続けている。
中学時代には120キロを超える球速で、他を圧倒する力を誇った。
「ボールを受けている捕手が、ベンチで氷水を使って手を冷やしていることがあった」。そんな逸話も中崎のスケールを如実に伝える。
中崎は、壁にぶつかるたびに強くなってきた。最初の壁は・・・
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