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各球団の将来を担う若手有望株を直撃するインタビュー。第3回は独立リーグから史上最上位となるドラフト2位で中日に入団した又吉克樹をクローズアップする。春季キャンプ、オープン戦を駆け抜け、開幕一軍を勝ち取り、4月17日にはプロ初勝利をマーク。今やドラゴンズの中継ぎ陣において欠かせぬ“ピース”となりつつある変則サイドハンド右腕。自らの「生きる道」を語る。
取材・構成=富田 庸 写真=内田孝治、前島 進

自分の生きる道

──ルーキーながら、中継ぎとして大車輪の活躍です。全11試合中7試合に登板して奪三振数「17」は、先発投手の小川泰弘ヤクルト)を抜いてリーグトップ(4月9日現在)。独特なサイドスローが効果を発揮しています。現状をどう見ていますか。

又吉 毎日毎日、自分の技術の足りなさを痛感しています。僕はもともとレギュラーではなく、下の方から見てきて、上の人がテングになってつぶれていくのを見てきましたから。その都度、満足することはあっても、妥協するつもりはありません。まだまだうまくなれると思うので。

──ナゴヤドームでのデビューは3月2日DeNAとのオープン戦、二死満塁で相手はブランコ選手でした。

又吉 緊張というよりは、まずはやっとここに立てたなという思いでした。プロ野球選手を相手に自分がマウンドに行く。それはずっと想像していたことなので。しかも相手はブランコ選手。これを抑えたら自分のもの、自分の利用価値は上がると。

──実にポジティブですね。

又吉 打たれたらどうしようでなく、打たれたら次に同じことをしないことが大事なんです。オープン戦前の練習試合で吹っ切れましたね。初登板のときに制球が定まらず、自分らしさが出せなかった。そのとき、デニーさん(友利結投手コーチ)が「おまえは腕を振ってこそ価値のあるピッチャーだ」と言ってくれたので。

──公式戦初マウンドは3月29日の広島戦(ナゴヤドーム)。そこから2試合連続無失点に抑えましたが、3試合目の阪神戦(4月2日、京セラドーム)で2イニング目に4失点を喫してしまいます。

又吉 最初の回は抑えられましたけど、次の回に三、四、五番の主軸に3連打を食らったときにはまだまだだなと思いました。でも、試合が終わってから、デニーさんに「失敗をしていいけど、同じことはするな。フォアボールでもデッドボールでもいいから、とにかく腕を振れ」と言われたんです。そこまで言ってくれるなら、もう腕を振るしかない。それが自分のアピールポイントなので。

▲4月2日の阪神戦(京セラドーム)で4失点。谷繁兼任監督、友利コーチからは厳しい言葉を受けたが、それを前向きに受け止める



──節目節目に指導者から印象的な言葉をもらい、モノにしてきた。

又吉 近藤さん(真市投手コーチ)もそうです。練習試合で制球が定まらなかったときも体の動きについて付きっ切りで教えてくれました。説明がアバウトじゃないんです。「ああせい、こうせい」ではなく理論的で。

──自分の良さを考えて、アドバイスを送ってくれているのですね。

又吉 それもありますし、強打者に当ててくれているのが何よりありがたいですね。いきなりブランコ選手でしたし、楽天戦ではユーキリス選手だったり、AJ(ジョーンズ)。そこで抑えることが、自分の生きる道を切り開くこと。自分が抑えるのは主軸、外国人、パワーのある右打者なんだと。スピードではなく制球力、球のキレで勝負したいです。
プロスペクトインタビュー

プロスペクトインタビュー

各球団の将来を担う若手有望株へのインタビュー。現在の不安や将来への希望が語られます。

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