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31年振りの広島・日本一へ期待される助っ人左腕

 

今季から広島の指揮を執る緒方監督



3Aながら昨年は好調。高い奪三振率が特徴のサウスポー


 2014年、クライマックスシリーズで敗退をした広島カープが新監督就任発表からもまもなく、新外国人選手の獲得を発表しました。広島カープが新たに契約をした選手はブルージェイズ傘下の3Aバッファロー・バイソンズに所属していたマイク・ザガースキーという31歳の左腕投手です。今回はこのマイク・ザガースキー投手についてお伝えしたいと思います。

 ザガースキー投手はメジャーでは89試合に登板したことがある左腕で、主にリリーフとして起用が多い投手でした。2005年のアマチュアドラフトの12巡目でフィラデルフィア・フィリーズに指名を受けて、プロ入りをしています。マイナー全体では325試合に登板していますが、そのうち先発は10試合だけです。メジャーでは89試合すべてリリーフとしての登板のため、基本的にはリリーフとしてのキャリアとなっています。

 メジャーの89試合では75.1回で防御率7.05/1勝0敗/奪三振75/WHIP1.74/被打率.293となっています。75回1/3で与四球は46個と多いものの、奪三振率は8.96と高く、メジャーでも多く三振を奪う力は持ち合わせていた投手でした。

 2010年以降は3AとMLBの行き来が多くなりましたが、3A通算では202試合238.2回で防御率2.68/318奪三振/WHIP1.25/被打率.213と結果を残しています。この3Aでも238.2回で318個の三振を奪っているため、通算の奪三振率は11.99と非常に高い数字になっています。

 特に今季の好材料となるのは、2014年が好調だったことで46試合60.2回で防御率2.08/奪三振83/WHIP1.17/被打率.194と素晴らしい数字が並び、奪三振率も12.31と高く、三振を奪う能力は衰えていないと思います。残念ながらメジャーで彼と契約するチームはありませんでしたが…。

スライダーが決め球


 マイク・ザガースキー投手がどのような投手か簡単にお伝えすると、

(1)基本的にはリリーフタイプ
(2)三振を奪う能力が高い
(3)与四球が多い(2イニングに1個)

 というような投手ではないでしょうか。持ち球は、主にフォーシームファーストボール(きれいな回転のストレート)、チェンジアップ、スライダー、カットボールの4つとなります。

 フォーシームファーストボールは2007年に最速で156キロを記録していますが、2014年の春のスプリングトレーニング(オープン戦)では、最速152キロ、平均で150キロを記録しています。年齢のためか、ややスピードは落ちていますが、それでも左腕でこの球速は打者は嫌がるのではないでしょうか。

 変化球で一番良いボールはスライダーです。メジャーの登板での球種の割合としては、フォーシームが投球の6割から7割強、スライダーが3割から2割前後、残りの1割弱がチェンジアップ、カットボールとなっています。

 ただ、シーズンによっては、チェンジアップ、カットボールはほとんど投げていないケースもありました。日本ではシーズンによって使っていなかったボールを投げるのかどうかも気になります。奪三振に占める割合としてはフォーシームとスライダーがそれぞれ50%となっています。

 フォーシームが投球に占める割合が7割あることを考えれば、決め球は基本的にはスライダーで、メジャーでの被打率.250であることからも、そう考えて良さそうです。

 フォームはオーソドックスでクセがあるタイプではありませんが、肘が見えにくい投げ方をしているので、シーズン当初はバッターが攻略に苦労するのではないかとみております。

 基本的にはこの2つの球種で抑える投手だと思います。そしてキャリアがほぼリリーフとしてのものであるため、2015年は広島カープで基本的にはブルペンでの起用で、うまくはまればクローザーという形になるのではないでしょうか。

 最近では広島からメジャーに戻ったコルビー・ルイス投手の様に、最近の広島カープの新外国人獲得は高い精度で成功していますので、今後に続く投手の評価の為にも活躍し、31年振りの日本一の原動力となる活躍をして欲しいです。今年、彼が日本の試合で登板をするのが楽しみです。

著者PROFILE
1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。
現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウト「メジャーリーグレポート」

現役MLBスカウトによる連載コラム。スカウトならでは視点で日米の選手をジャッジするほかMLBについても語る。

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