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レッドソックス 田澤投手、上原投手の役割は重大

 

今年も重要なセットアップマンとしての役割が期待される田澤純一投手



低迷した打線のテコ入れがカギを握る


 日本でも人気のある田澤純一投手、上原浩治投手の所属するレッドソックス。2013年に97勝65敗という成績で両リーグトップの勝率で地区優勝を果たし、ワールドシリーズ制覇を成し遂げましたが、2014年は71勝91敗と地区最下位に転落してしまったレッドソックス。4月2回目のコラムはこのレッドソックスの今シーズンの戦力補強についてお伝えしたいと思います。

 2013年のワールドシリーズ制覇から昨年は何故最下位に転落をしてしまったのか? まずは期待していた投打の若い選手たちが軒並みメジャーリーグのカベに苦しみ、さらには主力選手も故障離脱してしまったことなどが最下位になったのではないでしょうか。2014年シーズンのレッドソックスのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

◆2014年打撃成績
*SP:先発投手QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率
得点:634点(MLB18位AL11位)
打率:.244(MLB22位AL13位)
出塁率:.316(MLB14位AL8位)
長打率:.369(MLB24位AL14位)

◆2014年投手成績
防御率:4.01(MLB23位AL10位)
SP防御率:4.36(MLB26位AL13位)
QS:87回(MLB14位AL5位)
RP防御率:3.33(MLB12位AL6位)
SV率:66.67%(MLB18位AL9位)

 まずは2013年シーズン両リーグトップの853点を叩きだしたレッドソックス打線でしたが、2014年は200点も得点が減ってしまいました。チーム防御率自体も3.79から4.01に落ちてしまったことも低迷する原因だと思いますが、何より深刻問題だったのは打線の低迷でした。

 マイク・ナポリ、シェーン・ビクトリーノが故障、イグザンダー・ボガーツ、ウィル・ミドルブルックス、ジャッキー・ブラッドリーらの若い選手が伸び悩むなど、打線が機能しなかったため、2014年シーズン中にジョン・レスター、ジョン・ラッキーらを交換要員として、ヨエニス・セスペデス、アレン・クレイグらをトレードで獲得しました。

 しかし、ヨエニス・セスペデスは守備面でチームにフィットせず、クレイグは体調面の不安からくる不振で、2015年のメドを立てるには残念ながら至りませんでした。そのためオフの補強も攻撃面での動きが先行する形になったのではないでしょうか。

 そのレッドソックスの2014年シーズンオフから2015年シーズン前の主な戦力の加入・移籍選手です。

◆主な新加入選手
ハンリー・ラミレス(LF/FA)
パブロ・サンドバル(3B/FA)
ライアン・ハニガン(C/トレード)
リック・ポーセロ(SP/トレード)
ウェイド・マイリー(SP/トレード)
ジャスティン・マスターソン(SP/FA)
ロビー・ロス(RP/トレード)
アレクシー・オガンド(RP/トレード)
アンソニー・アルバロ(RP/トレード)

◆主な移籍選手
ヨエニス・セスペデス(LF)
バーク・ベイデンホップ(RP)
ウィル・ミドルブルックス(3B)
アレン・ウェブスター(SP)
ルビー・デラロサ(SP)

 打線の補強としては、ハンリー・ラミレス、パブロ・サンドバルというFA市場でのトップクラスの選手をたて続けに獲得することに成功しました。ジョン・レスター、ジョン・ラッキー、ジェイク・ピービをシーズン中にトレードで出したあと、若い投手にチャンスが与えられたものの結果を残せなかったため、先発投手陣をトレードで補強しました。

 外野手が余っていましたのでヨエニス・セスペデスを交換要員としてリック・ポーセロ、チャンスが与えられながら期待に応えられなかったアレン・ウェブスター、ルビー・デラロサらを交換要員としてウェイド・マイリー、FAでジャスティン・マスターソンで先発ローテを整えました。

 またバックアップ捕手だったベテラン捕手のデビッド・ロスをFAで失ったのですが、その穴埋めとしてサンドバルに押し出されてポジションを失ったミドルブルックスを交換要員としてパドレスからライアン・ハニガンを獲得しています。

2015シーズンのスターティングメンバ―予想


◆予想スターティングラインナップ
1(CF)M.ベッツ
率.291 本5 点18 出.368 長.444

2(2B)D.ペドロイア
率.278 本7 点53 出.337 長.376

3(DH)D.オルティス
率.263 本35 点104 出.355 長.517

4(LF)H.ラミレス
率.283 本13 点71 出.369 長.448

5(3B)P.サンドバル
率.279 本16 点73 出.324 長.415

6(1B)M.ナポリ
率.248 本17 点55 出.370 長.419

7(RF)S.ビクトリーノ
率.268 本2 点12 出.303 長.382

8(SS)X.ボガーツ
率.240 本12 点46 出.297 長.362

9(C)C.バスケス
率.240 本1 点20 出.308 長.309

◆予想ベンチメンバー
R(C)R.ハニガン
率.218 本5 点34 出.318 長.324

R(RF)D.ナバ
率.270 本4 点37 出.346 長.361

R(UT)B.ホルト
率.281 本4 点29 出.331 長.381

R(OF/1B)A.クレイグ
率.215 本8 点46 出.279 長.315

R(OF)R.カスティーヨ
率.333 本2 点6 出.400 長.528

R(UT)G.チェッキーニ
率.258 本1 点4 出.361 長.452

R(IF)J.ウィークス
率.308 本0 点3 出.406 長.423

R(CF)J.ブラッドリー
率.198 本1 点30 出.265 長.266

 外野手はレフトのハンリー・ラミレスが確定で、ライトは健康であればという条件付きでシェーン・ビクトリーノをレギュラーとして起用することをジョン・ファレル監督が明言しておりました。

 そのため残る最後のセンターを7年7250万ドルで獲得したキューバの亡命選手であるルスネイ・カスティーヨ、2014年に結果を残し、将来的にチームのリーダーになれると期待されているムーキー・ベッツが争う形になるのではないでしょうか。

 ただ、ルスネイ・カスティーヨが故障で一旦離脱してしまったこともあり、開幕時はスプリングトレーニングで好調なムーキー・ベッツが1番センターを務めるのではないかと思います。

 外野は他にもアレン・クレイグとダニエル・ナバが残っているのですが、ダニエル・ナバは貴重な左打ちであると同時に一塁を守ることができるため、ベンチ要員として残ると思います。また、内外野を守れるブロック・ホルトは、ユーティリティプレーヤーとして開幕ロースターに入ることが有力視されています。

 外野手が余っていることと、先発ローテに不安があるためトレードの噂が絶えないレッドソックスでしたが、現状では野手の選手層を厚くすることを優先しているのではないかと思っております。ベン・チェリントンGMは、故障があってもジョン・ファレル監督が多くの選択肢を持てる状況を整えたいようで、主力投手に大きな問題がない限りは、現状を維持する可能性が高いのではないでしょうか。

2015年投手陣の先発陣とリリーフ予想


◆予想される先発投手陣
SP1:C.バックホルツ
170.1回 防5.34 8勝11敗WHIP1.39

SP2:R.ポーセロ
204.2回 防3.43 15勝13敗WHIP1.23

SP3:W.マイリー
201.1回 防4.34 8勝12敗WHIP1.40

SP4:J.ケリー
96.1回 防4.20 6勝4敗WHIP1.35

SP5:J.マスターソン
128.2回 防5.88 7勝9敗WHIP1.63

◆予想されるリリーフ陣
CLO:上原浩治
64.1回 防2.52 26SVWHIP0.92

SET:田澤純一
63.0回 防2.86 0SVWHIP1.19

SET:E.ムヒカ
60.0回 防3.90 8SV WHIP1.38

RP1:A.オガンド
25.0回 防6.84 1SV WHIP1.26

RP2:C.ブレスロウ
54.1回 防5.96 1SV WHIP1.86

RP3:R.ロス
78.1回 防6.20 0SV WHIP1.70

RP4:A.バルバロ
54.2回 防2.63 0SV WHIP1.08

 開幕投手が誰になるかは決定していない状況ですが、バックホルツ、ポーセロ、マイリーの中の1人になるのではないでしょうか。

 先発ローテはエースらしきエースが存在せず、バックホルツ、ポーセロ、マイリーらは良く先発2番手、できれば3番手で使いたいタイプの投手のため、打線の援護とリリーフ陣の安定感は重要になりそうです。
またバックホルツ以外の先発投手は、グランドボールピッチャーばかりなので、内野の守備力は重要になるのですが、サードにサンドバル、セカンドにペドロイア、ファーストにナポリと安定感のある選手が揃っているため、ショートを守るボガーツのパフォーマンスが、これらの投手の成績も左右することになるのではないでしょうか。

 リリーフ陣では、クローザーを上原浩治投手務めるとファレル監督が名言していてセットアップを務めるのはエドワード・ムヒカとなり、田澤純一は基本的にはセットアップマンとして重要な役割が期待されることになります。

 他のリリーフ投手で私がとても楽しみな選手がトレードでブレーブスから獲得したアンソニー・バルバロ投手です。対左打者のスペシャリストとして面白い存在で、右投手なのですが、左打者へキャリア通算での被打率が.196である一方で、対右打者には.262の数字を残すなど、左打者に非常に強い数字を残してます。

 リリーフ陣は防御率3.33とまずますの数字を残したレッドソックスでしたが、その数字に貢献していたアンドリュー・ミラー(42.1回・防御率2.34)はシーズン中に、バーク・ベイデンホップ(70.2回・防御率2.29)をFAで失ってしまいました。その穴埋めが必要となるのですが、レンジャーズから移籍してきたアレクシー・オガンドとロビー・ロスの2人に期待していると思います。

 ともに2014年は成績が良くありませんでしたが、アレクシー・オガンドは先発とリリーフの両方をこなしながら通算の防御率は3.33、ロビー・ロスはリリーフ専任だった2012-13年シーズンは防御率2.62を記録していますので、両者が復活すれば非常に大きな戦力となると思います。

今シーズンの戦い方は?


 私の予想では打線に関しては中軸の破壊力ではブルージェイズには劣るものの、打線全体での迫力はややレッドソックスが上回る印象で、ア・リーグ東地区だけでなくア・リーグでも屈指のものとなりそうです。

 守備に関しては2014年も守備防御点(DRS)が+27でリーグ4位、アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)が+48.5でリーグ3位と非常に安定していました。2015年はレフトのハンリー・ラミレスが未知数ではあるものの、それ以外の内外野は安定したパフォーマンスが期待されるため、打線の破壊力に注目が集まりがちですが、レッドソックスの隠れた強みとなるのではないでしょうか。

 問題は投手陣で、2014年に防御率4.36と低迷した先発投手陣が、新しい顔ぶれでしっかりと機能できるかどうか?という事です。ただ、基本的な戦略としては先発投手は試合を壊さない程度に長い回を投げてもらい、打線の得点力でカバーするというのが基本的な戦い方となりそうで、補強の目玉となったハンリー・ラミレスとパブロ・サンドバルのパフォーマンスが非常に重要になります。

 ただ、サンドバルの2014年はポストシーズンでは結果を残したものの、打率.279/本塁打16/打点73/出塁率.324は際立った数字ではなく、2012年以降は20本塁打を記録していない事が気になります。

 またハンリー・ラミレスの2014年の成績も打率.283/本塁打13/打点71/出塁率.369と遊撃手としては素晴らしいものの、外野手としては際立つほどの選手ではありません。両者ともにここ数年は投手有利の本拠地でプレーしていましたが、打者有利のフェンウェイ・パークやア・リーグ東地区の球場で多くプレーすることになりますので、昨年同様のパフォーマンスでも、成績的には向上することが期待できそうです。

 2015年のレッドソックスは十分に優勝を狙える戦力となっていることは間違いないのですが、かといってア・リーグ東地区において圧倒的な1番手に据えることができないのも事実です。

 というのも打線が強力な一方で、先発ローテには精神的にもパフォーマンスの面でも柱となるようなエースらしいエースが不在で、3番手クラスの投手がズラリと顔を並べているにも関わらず、リリーフ陣もオリオールズやヤンキースと比較した時には、やや不安が残るためです。

 リリーフ陣の中では、クローザーを務める上原浩治が40歳となるため1年を通じで高いレベルでのパフォーマンスを発揮できるかどうかは懸念材料ですし、万が一の代役と考えられているエドワード・ムヒカも絶対的な信頼感がおけるわけではもありません。そのため上原浩治のパフォーマンスは非常に重要で、うまくいかない場合には、シーズン中の補強でさらに大きめの動きが必要になるかもしれません。

 先発投手陣の編成はある程度の失点は覚悟し、打線の援護があることを前提していると考えられるため、FAで獲得した2人に加えて、ベテランのデビッド・オルティス、マイク・ナポリらがフル回転で活躍することが、2012年から2013年の時と同様の最下位の翌年優勝という結果を残すためには欠かせないものとなりそうです。いずれにせよ、今シーズンも田澤投手、上原投手の役割はとても重要になる事は間違いありません。

著者PROFILE
1950年代生まれ。現役を引退後、MLBスカウトに転身。全米だけではなく日本球界にも太いパイプを築き、スカウティング活動に余念がない。

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現役MLBスカウトによる連載コラム。スカウトならでは視点で日米の選手をジャッジするほかMLBについても語る。

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