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記録の手帳 / 千葉功

2015年に初本塁打を放った男たち

 

先週は今年初めて勝利投手になった選手たちを紹介したが、今週は初めて本塁打を打った選手たちである。プロ入り初打席に本塁打を打ったのはプロ野球誕生以来で57人(外国人選手を含む)もいるが、今年はプロ入り11年目で初本塁打を放った選手もいる。昨年の開幕戦のプロ入り初打席で、初球に本塁打という最高のスタートを切ったヤクルト西浦直亨は今年は1本を追加したのみ。最高のスタートは必ずしもその選手の未来を約束するものではないようである。

長い二軍暮らしを乗り越えてつかんだ歓喜


6月6日のヤクルト戦[神宮]の4回には左中間へプロ11年目で初本塁打を放ったロッテの青松



 今シーズンプロ入り11年目で初めて本塁打を放ったのは、ロッテの青松慶侑である。04年秋のドラフトでロッテから7位指名され入団。2年目の06年に1試合だけ一軍で出場したが、そのまま万年二軍の日々が続いた。いつの間にか二軍の正捕手には定着したが、2割台の打率では一軍への道は開かない。



 13年になって7年ぶりに一軍に上がって9試合、14年にも3試合に出場。13年にファームで10本塁打を打ったが、打率は.203である。しかし、14年には打率は.319でリーグ6位であり、本塁打も13本を打ったが、一軍では5打数1安打のチャンスしか与えられない。

 15年は6月5日に一軍昇格が決まった。イースタンで打率、本塁打でトップの青松は、6日のヤクルト戦(神宮)に六番・一塁手でスタメンに登場し、2回に左前に二塁打すると、4回には左中間へプロ11年目の一軍での初本塁打。だが、右打者の青松が左の石川雅規から2本の長打を打っても右投手に凡退を繰り返していては、必然的に出番のチャンスはどんどん閉ざされる。結局、15年も一軍では20打数3安打で.150。

 それでもファームでは打率.298で首位打者であり、15本塁打も1位で2冠王になったが、これが自信になって16年こそ一軍に定着できないか。ファームでは通算68本塁打の強打者は、その力を一軍に持ち越すことはできないでいる。本人は「右投手を打てないと常時スタメンはない」と表情を引き締めているが、一軍で羽ばたく日は訪れるのか。

 15年はヤクルトの今浪隆博も一軍で9年目の初本塁打を放っている。08年に日本ハム入りしたが、13年まで日本ハムでは420打席で本塁打ゼロ。14年にヤクルトに移籍したが38打数8安打で長打は二塁打1本と、相変わらず本塁打には縁がなかった。

 しかし、15年5月24日のマツダ広島の広島戦で4回無死一塁で今浪が「完璧でした」と語る右越えの2ラン。プロ入り9年目の第1号である。さらに今浪は5日後の29日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でも通算2本目。この日、球場は前夜に開催されていたコンサートの撤収作業が遅れ、ホームのソフトバンクの打撃練習は40分遅れでの開始。それにも関わらず、ソフトバンクは1回に内川聖一李大浩、3回に柳田の本塁打攻勢。それにつられてか、ヤクルトの今浪も6回に右翼へ9年目にして2本目のアーチを描いた。

最初の本塁打まで23年間を要したあの選手


 第1号まで最も長く時間がかかった記録には23年目がある・・・

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