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記録の手帳 / 千葉功

なぜ日本球界は犠打にこだわるのか?

 

巨人高橋由伸新監督は今シーズンの目標の1つに「バント成功率8割」を挙げている。セ・リーグ2位に終わった昨季はチーム打率はリーグ最低であったが、バント成功率もリーグ最下位であり、両リーグを通じてもワーストだった。成功率の上位7球団が成功率8割台というのに巨人は辛うじて7割台。100回バントを試みると成功率8割のチームに比べ、巨人は10回以上失敗が多いわけだ。解決すべき由々しき問題である。

日本よりはるかに少ないメジャーの犠打数


巨人の中で.947と高いバント成功率を誇った片岡。レベルの高い技術を持った選手の育成も課題の1つだ



 高橋由伸監督の「8割のバント成功率」が達成されても、ようやく他球団並に追いついただけである。日本ハムの成功率は.826であり、オリックスは.823、楽天は.813である。



 2015年に巨人がバントを試みたのは165回あったが、走者を2人以上置いた場合のバントの成功率はさらに低かった。

▼走者一、二塁では21度試み、12度の失敗(送れず8、三振4)=成功率.429
▼走者一、三塁では3度試み、3度とも打者は三振
▼走者二、三塁では2度試み、成功1度
▼満塁では1度試みて失敗

 2人の走者を同時に送ろうと画策しても成功率は4割にも満たない(.370)のである。特に投手陣の成功率が低いのが目立つ。野手の成功率は.810に対し、投手陣は.449にしかならない。

 菅野の成功率は.667だが、その他の投手のトータルは成功16で失敗24とあって成功率は.400である。ボレダのように5度バントしながら走者アウトが3、自らが三振に倒れたのが2の成功率ゼロという投手もいる。

 成功してもワンアウトは相手に呈上するバントだが、ワンアウトを失いながらなおかつ走者を進ませられないのでは、バント策はまったく割に合わない作戦。メジャーにバント戦法が少ないのはそのあたりに理由がありそうである。

 巨人のバント成功率はここ数年下がり続けている。12年は.829であったのが13年は.821、14年は.787で、15年は.703にまで落ちた。



 日本に比べてメジャーの犠打数ははるかに少ない。15年の両国の1試合平均の犠打数はこうである。

[ア・リーグ]
1214試合=453犠打 0.37
[ナ・リーグ]
1215試合=747犠打 0.61
[パ・リーグ]
429試合=646犠打 1.51
[セ・リーグ]
429試合=744犠打 1.73

 DH制のア・リーグは1試合平均0.37本だが、同じDH制のパ・リーグは1.51本とア・リーグの4.1倍である。投手もバットを持つナ・リーグは1試合平均0.61本だが、セ・リーグは平均1.73本だからナ・リーグの2.8倍である。

強気に攻めまくる采配を見てみたい


 その巨人にあって実に成功率.947のバントの名人は片岡治大である・・・

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