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記録の手帳 / 千葉功

防御率162.0…広島・塹江敦哉は大野豊になれるか/他9月の気になった記録

 

今年のプロ野球はセ・リーグは広島が早々と25年ぶりの優勝を9月10日に決めたが、パ・リーグも9月28日にようやく日本ハムが大逆転で、4年ぶりの胴上げを実現した。この後、クライマックスシリーズの結果を待って、日本シリーズ出場チームが決定するが、もしこの両チームの対戦となれば、初めての対決になる。

大野同様にデビュー戦でKOされた塹江


高卒2年目で初登板を果たした広島の塹江。プロの洗礼を浴びたが長い野球人生はまだ始まったばかりだ


 9月10日に優勝を決めた広島は、翌11日の巨人戦にはメンバーを落としてきたが、一番・田中広輔、二番・菊池涼介、三番・丸佳浩の打順は不動のまま。この一〜三番は優勝決定まで二番の菊池が2試合スタメンから消えただけであった。

 投手陣は3番手で塹江敦哉が登板してきた。高卒2年目だが、一軍はこの日が初登板とあって先頭の長野久義に本塁打を打たれると浮き足立った。安打、四球、四球で満塁のピンチを招いた。その後に遊撃ライナーでやっとのことで一死を奪ったが、ギャレット大田泰示にタイムリーを打たれて交代。投手成績は投球回1/3で2四球、自責点6だ。初登板の成績は防御率162.00である。それでも緒方孝市監督が「もう一度投げる姿を見てみたい」と語っていたのに救われた。

 9月16日の中日戦に出て三者凡退で締めた塹江は19日のDeNA戦に先発してきた。1回裏にロペスに2ランを浴びたが、2回から5回まで4イニングを2四球、1死球でノーヒットに抑えた。162.00の防御率も11.37に劇的にダウンした。

 思い出すのは、77年に軟式出身の選手として広島からデビューした大野豊のことである。9月4日の阪神戦(広島)で8回からプロ入り初出場した大野は、最初の打者に安打されると8打者に1本塁打を含む5安打、2四球を与え、1/3回で5失点。この年はこれ以後登板しなかったので、同年の大野は防御率135.00の投手として一生残ることになった。(A表参照)


 しかし、2年目には41試合に登板して74回1/3を投げて自責点31で防御率3.77となり、3ケタの天文学的防御率はいつの間にか消えた・・・

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