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記録の手帳 / 千葉功

2017随想集(1) ──開幕シリーズのプロ野球から──

 

オープン戦の成績は当てにならないとよく言われるが、開幕早々それを実証しているのが巨人である。そこでは勝率.263で12球団最下位だった巨人が中日との開幕3連戦に3連勝すると、さらに連勝記録を伸ばしている。打者でも阿部慎之助がプロ入り17年目にして初の開幕戦で本塁打を打つと、その勢いで4試合で3ホーマー。巨人が開幕4連勝以上したのは12度目だが、過去11度中9度優勝を飾っている。数字上は早くも今シーズンの優勝確率はかなり高いと言い切るのは、時期尚早だろうか。(記録は4月4日現在)

開幕から巨人の四番に座っている阿部慎之助。劇的なサヨナラアーチを含め、チームのスタートダッシュに大きく貢献した


開幕ダッシュに成功。四番・阿部が大当たり


 この数年は巨人の四番を誰が打つのかが課題であった。直近の優勝の2014年以降の巨人の先発四番打者の開幕4試合の成績はこうだ(打数-安打-本塁打-打点-打率)。

▼14年 村田修一=14-6-0-1-.429
▼15年 阿部慎之助=14-4-0-2-.286
▼16年 ギャレット=10-4-2-5-.400

 毎年、開幕4試合の四番打者のメンバーは変わっている。14、15年は本塁打は1本もなく、16年は新外国人のギャレットが開幕3、4試合目に連続本塁打を打っていたが、その選手も今年は外国人枠の関係で一軍メンバーから外れて、四番には阿部が2年ぶりに返り咲いた。

 その阿部が大当たりだ。3月31日の中日との開幕戦で1回裏二死二塁で2ラン。プロ入り17年目にして開幕戦で初めて打った本塁打であった。巨人の四番打者が開幕戦の1打席目で本塁打を放ったのは1989年の原辰徳以来、28年ぶりのこと。さらに阿部は3回にも二死一、二塁で中前へタイムリーを打って開幕戦で3打点目を挙げた。

 翌4月1日の2戦目に阿部は1対2で迎えた9回裏の二死一、二塁でサヨナラ3ラン。開幕1、2戦に続けて本塁打を打った巨人の四番打者は史上4人目で5度目である。

▼63年 長嶋茂雄  ●○
▼78年 王貞治   ○○
▼80年 王貞治   ●●
▼89年 原辰徳   ○○
▼17年 阿部慎之助 ○○

 開幕1、2戦で劇的な2ホーマーを放った阿部は3戦目の4月2日の中日戦でも4回に反撃開始の右前へのタイムリーを打ち、6回には勝ち越しのお膳立てをする二塁打。これで開幕3連戦に計11打数で2ホーマーを含む6安打で.545の8打点。勢いに乗る阿部は、カードが変わった第1戦の4月4日のDeNA戦でも8回に第3号2ラン。チームの4連勝に貢献した。これで阿部は10打点である。【A表参照】


 開幕からの4連勝は巨人にとっては12度目。39、41、53、57、77、81、83、90、98、13、16、17年だが、このうち98、16年は優勝を逸している。しかし、優勝確率は11分の9で81.8%と跳ね上がっている。

Vのカギを握る男たち。外国人投手が花盛り


 この原稿を書いている時点で開幕してまだ各球団は4試合しか消化していないが、今年はどのチームも外国人投手を盛んに起用している。巨人は開幕の中日戦にマイコラスを先発させたが、8回からマシソン、9回から新入団のカミネロとリレーして外国人投手3人で開幕戦を飾っている。

 外国人の制限は4人までは今も変わらない。投手3人なら打者は1人しか起用できないわけだが、実際には打者を3人起用することが珍しくないので投手を3人も起用するのはあまりない。

 巨人の場合、昨年は外国人投手を1試合に2人起用したのは先発のマイコラスにマシソンをリレーした10試合しかない。1試合に3人の外国人投手の継投で勝ったのは巨人史上・・・

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