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記録の手帳 / 千葉功

2017随想集(2) ──4月のプロ野球から──

 

ペナントの開幕から約1カ月。セ・リーグは昨年覇者の広島が首位に立ち、阪神巨人が続いている。一方のパ・リーグは日本ハムが苦しい戦いを強いられ、楽天が大躍進するなど波乱含みの展開となっている。4月のプロ野球で気になったことを書き綴ってみたい。(記録は5月1日現在)

シーズンの開幕から強さを発揮している楽天。2年目を迎えた茂木の活躍など若い力の台頭が目覚ましい


パはまさに下克上。苦しむ昨年の王者


 昨年は2位のソフトバンクに2.5ゲーム差をつけて優勝した日本ハム。今年の開幕戦は西武に1対8で敗れ、2戦目は3対1で勝利。3戦目も3対6で負けたが、カードが変わった次の4月4日のロッテ戦は6対1で勝ち、五分の星でスタートを切った。

 ところが4月5日のロッテ戦から6連敗。さらに4月14日から26日までは10連敗も喫した。1カ月に6連敗以上を2度したのは、2011年9月(6連敗、9連敗(1分けを挟む)以来のことである。この年は2位に終わっていたが、首位のソフトバンクとは17.5ゲーム差。優勝とはほど遠かった。

 4月27日のソフトバンク戦に延長10回の末に5対4で勝利して大型連敗こそ脱出したが、チームは故障者に悩まされ続けている。昨年は打者としては打率.322、22ホーマー、投げても10勝4敗の大谷翔平が右足首を痛めてWBC出場を辞退し、開幕しても4月8日のオリックス戦で左太もも裏を肉離れして現在も二軍でのリハビリを余儀なくされている。

 四番の中田翔も9試合を終えた4月9日のオリックス戦の試合中に右足の付け根を痛めて途中退場。そのまま一軍登録を抹消され、10試合の欠場。代わりの四番にはレアードが入って急場をしのいだが、中田なしの日本ハム打線はやはり脆弱で苦しい戦いを強いられ続けた。

 10連敗は日本ハムにとって東映時代から数えて3度目。11連敗も05年に経験しており、さらに14連敗も1984年にある。2ケタ連敗したこの4シーズンの最終結果は3位が1度、5位が1度、最下位が2度だ。(A表参照)


 日本ハムに限らず前年の優勝球団で2ケタ連敗は76年の広島以来だが、このときの広島も3位に終わっていた。92年と15年にヤクルトが9連敗しながら優勝しているが、2ケタ連敗しながら優勝した球団はない。開幕からまだ1カ月足らずではあるが、データ上は日本ハムはすでに厳しい現実を突きつけられている。

日本ハムはまさかの低迷。大谷の戦線離脱のダメージが如実に結果に表れてしまった


楽天2度目の優勝も夢ではない根拠


 日本ハムの見通しは暗いが、その一方で首位を走る楽天2度目の優勝は決して夢ではなくなってきた。開幕から4連勝でスタートした楽天は4月19日の西武戦、21日のソフトバンク戦に連敗したものの、その後も危なげなく首位の座をガッチリと守っている。

 21試合を終えて勝率.762であり、チーム打率.281は1位、防御率3.11は3位だ。西武がチーム防御率2.46で1位だが、打率は.254で4位というのとは違って今年の楽天は非常にバランスのとれたチームと言える。さらに次代を担う若手が多くプレーするイースタン・リーグでも勝率.643で1位というのも明るい未来を感じさせる。

 また今年の楽天は内野陣が・・・

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