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記録の手帳 / 千葉功

救援専門の岩瀬仁紀が更新した最多登板記録の価値と現代野球

 

中日岩瀬仁紀が、このほど950試合の投手の最多登板の日本新記録を実現した。毎年60試合以上も登板する岩瀬であれば、時間さえかければ容易に達成できる記録と思えそうだが、実は年間の登板数が多い救援投手であれば、かえって記録実現が難しいという事実にぶつかる。昨年まで、現在のシーズン最多登板記録である90試合から75試合以上までを投げた12人のうち2人を除いた10人は2000年代以降の投手たちで占められている。しかもその10人の中に岩瀬の名は含まれていない。その不思議な事実にメスを入れてみたい。(記録は8月15日現在)

8月4日の巨人戦[東京ドーム]で歴代最多登板記録を更新した中日の岩瀬仁紀。42歳の大ベテランがまた新たな金字塔を打ち立てた


シーズン最多記録は久保田智之の90試合


 歴代の登板数【A表参照】では岩瀬仁紀が堂々の1位に躍り出たわけだが、シーズンでの最多登板の記録保持者は2007年に90試合に登板した阪神久保田智之である。

 久保田は144試合のうち90試合に登板して9勝3敗で55HP(ホールドポイント)をマークしていた。HPとは勝利数+ホールドの合計数で、07年の久保田は46ホールドをマーク。ホールドとはセーブの条件を満たしていながら試合の最後まで投げなかった投手に与えられる記録だ。セーブは1試合1投手に限られているが、ホールドは条件さえ満たせば何人にでも与えられる。したがって中継ぎ投手たちにもたらされる記録である。

 07年の阪神のブルペンは中継ぎが久保田、抑えが藤川球児。藤川はチーム全体の・・・

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プロ野球アナリスト千葉功によるコラム。様々な数値から野球の面白さを解説。

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