週刊ベースボールONLINE


「打倒・PL」を目指し高校時代を過ごした身としてPL野球がなくなるのは、さびしい……

 

1年生で左翼・七番に入り、決勝でPLから先制2ラン!


 唐突ですが、オレ、カラオケが好きでね。現役時代、レコードも出したこともあり、歌には結構、自信があるんよ。どんな曲を歌う?まず演歌よ。それも古い歌が多い。それと小さいときからかわいがってもらった島倉千代子さん。お千代さんの歌は、ほとんど歌えるよ。酒を飲んで、そして歌う。これがオレのストレス解消法だけど、この時期になると、定番曲がある。

 そら、そうよ。夏……といえば高校野球。

 高校野球といえば、この歌やろ。「いまありて」「栄冠は君に輝く」。必ず歌うのがこの二曲です。ホンマ、いい曲です。歌っていると、自然にウルウルきてしまう。遠い、遠い昔……。40年近く前のことを思い出してしまう。青春時代をよみがらせてくれるあのメロディー。やっぱり高校野球はいいぞ!といまも思い返している。

 ということで、今週はプロを離れ、高校野球のオレの思い出を書くことにします。



 明星中学からどこの高校に進むか。いろいろ考えた15歳のころだった。何校かから誘いを受けたけど、オレが決めたのは北陽高校やった。当時、大阪は全国随一の激戦区で、それも私学7校が相当強かった。全国的にも有名なPL学園、それに近大付、興国、大鉄、浪商、明星、そして北陽。この7校が大阪を席巻し、夏の甲子園はこの中から勝ち上がるというのが続いていた。

 オレはその中で北陽を選んだ。中学時代の仲間と「北陽で甲子園に行こうや」と話して決めたんやけど、そら強かったよ、北陽は。いきなり1年の夏から甲子園よ。甲子園で優勝するより、大阪大会で勝ち抜く方が難しいといわれた時代やったからね。オレは1年からレギュラーになりレフトを守っていた。その1年の大阪大会。北陽は順調に勝ち進み、決勝はPL学園との激突。北陽は強かったけど、その上をいくのがPL学園やったわ。

 とにかく強かったし、社会人野球のチームと対戦しても勝っていた……という話が伝わってきてね。投手陣がすごくて、3人の力のあるピッチャーがいて、そののち、そのうちの2人がプロに入ったというから、力のほどが分かってもらえるだろう。

 戦前の予想はPLの断然優勢。でもな、オレらは結構、自信があったんよね。勝ち上がっていくにつれて、力がついていく……という感じでPL戦を迎えた。1年のオレは七番レフトで出た。そして先制の2ランを打ったんよね。あの感触は忘れられんわ。結果、3対2の1点差で勝ったわけ。あのPLに勝った。これで甲子園や!1年からいきなり目指すところに来れた。うれしかったよ。そら、そうよ。激戦の大阪大会を勝ち抜いたわけですよ。これで甲子園、当然、日本一になれると思ったわけよ。

 あこがれの甲子園。北陽は「西の横綱」と評価された。北陽が西の……なら、東の横綱はどこなのか?それが作新学院ですわ。オレが1年ということは、作新の3年は誰がいた?そうです。江川卓さんですよ。とにかく大会前から鳴り響いていましたから。怪物と呼ばれ、そら速かったわ。絶対に作新と戦いたい。江川さんと対戦したい……と思っていたし、それくらいの自信はあった。

 ところが、やっぱり甲子園は甲子園……だった・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング