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岡田彰布コラム

チーム優勝のカギを握るのはやっぱり外国人選手よ。そのためにも監督は「配慮はするが、遠慮はしない」ように操作せんと

 

外国人個人のことよりチームありきを考えな


 ペナントレースはいよいよ大詰めを迎えた。混戦を極めたセ・リーグも各チーム、大型連戦の中、ほぼヤクルト巨人の2チームに絞られたようだ。阪神が優位……と思ってきたが、勝負所での失速。これは痛い。痛過ぎる。非常にもったいない感じがしてならない。

 ということで今週号は優勝争いと外国人選手……というテーマでどうですか? と担当者からの要請があった。いいでしょう。優勝には外国人選手の活躍が不可欠。これはいまの日本球界の定番、定説です。外国人選手をいかにコントロールして、いい働きをさせるか。これが監督の仕事のひとつといえる。配慮はするが、遠慮はしない。このあたりを明確にして、環境を整えてやる。それが大事なんだと思うな。

 あれはオレがオリックスの監督時代のことよ。超大砲を獲得したわけよ。西武でホームラン王に輝いたカブレラよ。そら期待するわな。当たればホームラン。すごい体してたもんな。それで開幕を迎えた。オレはカブレラを「四番・指名打者」で起用すると決めていたし、そのとおり、メンバー表に書き込んだ。

 ところがカブレラが文句を言ってきたんよ。通訳を通して「守って打席に立ちたい。だから一塁を守らせてくれ」ときたわけよ。いきなりのワガママよ。オレはオレなりの計算があって、DHで使うわけだし、コーチもそれを分かっていた。それなのに直前になって、一塁で使え……である。

 オレは本人を呼んで、まず事情を聞いた。しかし、納得できるモノではなかった。それで本人の気持ちどおりにすると、開幕からチーム方針があいまいになってしまう。だから、こちらは妥協する気はまったくなし。「話は聞いた。でも、それは叶えられない。この試合、もう使わない!」と伝えたわ。

 悲しそうな顔をしてたけど、やはりワガママを許してはいけない。オレはカブレラを使わないと決め、北川(博敏)にDHでいくぞ……と直前に言い渡した。北川はキョトンとしていた。そらそうやろ。みんなはカブレラでいくと思っていたわけやしな。それでいちいち説明する時間もなく、開幕戦に挑んだ、というわけよ。

 翌日、カブレラから謝罪があったわ。もう自分本位のことは言わない。考えない。そういう主旨のことだったけど、もちろん、2戦目からカブレラを起用した。オレは間違ってなかったと思うで。あれを聞き入れると、その後は、どんなこともまかり通ると考えるやろ。そうなれば、チーム方針があいまいになってしまう。カブレラだけのことではなく、まずチームありき……で物事を進める。これが重要なわけなんよ。

 そういう意味では、今年の阪神は苦しんだと思うよな。ゴメス、マートンは打線の中心やし、この2人の調子でチーム成績が左右される。ところがマートンが、精神的に不安定になり、明らかにやる気のなさを露呈するゲームがホンマ、多かった。これは厄介や。技術的なことではないから、余計、厄介なわけ。コーチがマートンの言い分を聞いてやるとかのケアの仕方はあるけど、マートンの不安定ぶりは優勝を争う時期に出てしまって、そこからタイガースは失速。和田監督にとっては、まさに計算外のことやったと思うな。

阪神はマートンが大事な時期に精神的に不安定になり、やる気のないプレーなどでチームの士気に影響した。ケアはしたと思うが、和田監督には計算外やったやろうな



 さらにいえば昨年、マートンが首位打者、ゴメスが打点王、メッセンジャーが最多勝、呉昇桓がセーブ王と外国人選手がタイトルを総なめにした。当然、今年も、となるだろうけど・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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