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岡田彰布コラム

侍ジャパン、見事な戦いやったけど拍手は持ち越しや。世界一に届かなかったことをどう考え埋めていくべきか、や

 

初対決の投手攻略はやはり難しいということよ


 大阪の街はにぎわっている。

 大相撲の大阪場所に、甲子園では高校野球のセンバツ。さらに阪神がオープン戦で調子よく進んでいる。大阪だけでなく、日本中が固唾をのんで見つめるイベントもあった。サッカーのUAE戦もそうだし、もちろん、これが最高頂のWBC!! そう、侍ジャパンが1次、2次ラウンドを勝ち抜けて、アメリカでの準決勝に挑んだ。

 皆さんと同様、オレもテレビにかじりつき、見守った。日本開催だった1次、2次ラウンドはオレの予想に反した結果だった。というのも、侍ジャパンは勝ち抜けると信じていたけど、それは投手陣を含めた守りの勝利になる……と考えていたからだ。

 ところが、いざフタを開けると打線、打力がチームを推進した。戦ったことのない投手を打ち崩すのは、相当、難しいものなのに、打線が活発になり、完全に打力で上回った……という内容が多かった。アレッという感覚で見ていたのだが、そこには相手のデータ収集、分析力もあったし、その成果が色濃く出たわけ。さらに打線の個々が、自分の役割を理解し、全体で状態を上げていったという素晴らしいサイクルが生まれていた。

 それだけに自然と“世界一”への期待はふくらむ。今の打線の状態と、投手陣の上昇があれば、頂点に立てる。すべては侍ジャパンの描くシナリオどおりに進んでいる。そう思ったのはオレだけではない。みんながみんな、世界一を確信していた……。

 でもネ、世界一って、そんな簡単に考えたらアカンということやったな。頂点を極めることの困難……。それを痛感させられた、というのが今の心境よね。

 3月22日、オレはソフトバンク-阪神のオープン戦評論のために博多に向かっていた。アメリカとの準決勝は、新幹線で携帯頼みの観戦になった。車中で身をよじりながら観戦し、思わず声が出そうになるのをあわてて抑えるほど集中していたわ。

 本気度満点のアメリカに対し、先発の菅野(菅野智之)が持ち味を発揮する。パワーを全開する相手に、ていねいに、ていねいに投げる姿……。これこそが日本野球であり、この粘り強さがパワーを食い止める。だが筋書きどおりに運んでいたシナリオに崩れが生じた。先制点を許すキッカケになった守りのミス……。決勝点を与えることになった守りのミス……。雨による条件的なものもあったけど、やはり野球はミスしたほうが負ける……ということか。決して責められるものではないけど、野球の本質を如実に示したゲームになったという印象を強く受けた。

 残念よ。悔しいわ。そんな思いを抱きつつ、よくよく考えれば、試合結果のスコアをもう1度、見返してみる。1対2よ。1点差よ。アメリカとの試合で、このスコアなら、本当はジャパンが・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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