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岡田彰布コラム

巨人が精彩を欠き広島は自信たっぷりも、阪神にも優勝のビッグチャンスがきた。広島とのマッチレースの気配がするよ

 

1985年は最後、広島とのマッチレースになった。前半戦最後の試合で広島に勝ち、3ゲーム差の2位で後半戦に入ったのが大きかったわ。その後は上昇気流に乗り優勝。ビールかけも楽しかったし、ホンマうれしかったわ


交流戦はシンプルに考え過ぎずにプレーすべき


 今年もまた“この季節”がやって来た。交流戦である。2005年からスタートした交流戦。いまではファンの間ですっかり定着した。新しい試みは、興味の深さとともに、ペナントレースに多大な影響を及ぼすイベントになった。実際に、戦った身として、交流戦の成績がそのまま、チームの順位に反映されることを実感した。

 だから、浮わついておれない。特にセ・リーグはそんな思いで戦っているに違いない。オレは交流戦が苦手ではなかった。プチ自慢になるけど、監督としてかなりの成績を残していると思う。なんでも監督で交流戦通算100勝一番乗りがオレだった……ということを聞いている。その要因は何か? オレなりの自己分析だが、シンプルに戦うこと。これが有効やったと振り返ることができるんよね。

 あれは2010年。オリックス監督の1年目よ。交流戦用のため、スコアラーをセ6球団に派遣した。そして情報収集、分析のためにスコアラーの報告を受けたら、意外なものがあった。「中日のバッティングがすごい。注意する必要あり」の情報よ。エッと思ったわ。当時の中日は打撃力が弱かった。それがまさかの逆報告よ。こういうことが起きるのも交流戦ならではで、調査したのが先発ローテーション投手を見極める6試合。たまたま、そこで攻撃力が目立った……というわけ。いわゆる一過性のものと判断ができるのに、スコアラーはここを強調するのだ。

 もちろん貴重な情報だし、尊重する。でもすべてではない。オレはそのとき、シンプルに考え、情報ありき……ではないぞ、とコーチに伝えた。イメージが出来上がると、戦いに偏りが出る。こういうときこそ、シンプルに自分たちの野球に専念すること。これをチームの方針として掲げ、実際、そのシーズンの交流戦では優勝している。要するに考えなさ過ぎるのもダメだが、考え過ぎるのもダメ。「シンプル・イズ・ベスト」が適用されるのが交流戦。オレはそう考えるわけよ。

 始まったころより試合数は減ったけど、この18試合は、ホンマ重要よ。勝ち負けがシーズン順位にモロにはね返る。ここで大きく負け越せば、ガクンと順位を下げるし、勝ち越せば、順位を上げることができる。昨シーズンが最も顕著な例だろう。セ・リーグで勝ち越したのは広島だけ。広島は交流戦で大きく他チームとの差を広げて、シーズン優勝に結びつけた。これは間違いない。

 さらに交流戦について書こうと思っているのに、ここで週ベ編集担当、いつものS君から連絡が入る。「実は今週号はタイガース特集なんです。広島と阪神2チームの優勝争いが1985年以来ということで・・・

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岡田彰布のそらそうよ

岡田彰布のそらそうよ

選手・監督してプロ野球で大きな輝きを放った岡田彰布の連載コラム。岡田節がプロ野球界に炸裂。

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