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江夏豊

江夏豊の持つ「教育者」という本質

 

“一匹狼”はイメージにすぎない。その本質は立派な教育者。近鉄も大野もその「教育」で初めて主役になった。
文=大内隆雄、写真=BBM

阪神時代[74年]のマウンド。数年後に日本一のクローザーの道を歩むとは、神のみぞ知る……


 新聞記者時代、江夏豊の言葉で、2つだけ、印象深いひと言として記憶に残っているものがある。

 1980年だったが、神宮球場の記者席に現れた江夏が(ヤクルト-広島戦の前だった)、「岡田(岡田彰布阪神内野手)はやっぱり、何か持っとるんやねえ。大したもんや」と感嘆のセリフを吐いたのが1つ。

 もう1つは、これより少し前、79年だったと思うが、後楽園球場の巨人-広島戦で、セーブを挙げたあと、まるで中学校の先生のような口調で「中畑君(中畑清巨人内野手)は、エエ勉強したんと違う?まあ、ああやっていい選手になっていくんやから」と言ったことである。

 江夏と言えば、“一匹狼”で、我が道を行く──これはファンだけではなく、新聞記者の間でも共有されていたイメージだった。東京には江夏をじっくり取材したことのある記者など、ごく少数しかいなかった時代。われわれは、このイメージで満足し、かつ安心していた。

 しかし、これはやはりイメージにしかすぎなかった。江夏は、プロ野球に若い有望な選手が登場すると、うれしくてたまらなくなる「教育者」なのである・・・

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