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オリックス・カラバイヨ、ラミレスから学んだ“極意”

年俸1000万円(金額は推定)の1年契約で入団したカラバイヨ。入団当初、外国人野手ではブランコ、ヘルマンに次ぐ3番手の存在だった

 

ラミレスからの学びが飛躍のきっかけに


 5月26日から交流戦がスタートしたNPBでは、連日熱戦が繰り広げられている。しかし、この球団だけはトンネルから抜け出せずにいる。オリックスだ。2日にはとうとう、森脇浩司監督が休養を表明した。

 そのオリックスで、まさに“孤軍奮闘”しているのが、フランシスコ・カラバイヨ(31)である。3日現在、打率.294、30打点、11本塁打。今や不動の4番であり、チームからの信頼は厚い。球団関係者も「獲得していて良かった」と胸をなでおろしているのではないか。カラバイヨを獲得していなければ、今以上に苦しんでいたに違いない。

 実は昨オフ、ルートインBCリーグ・群馬ダイヤモンドペガサスに所属していたカラバイヨの獲得に向けて動いた球団はひとつもなかった。それどころか、村山哲二BCリーグ代表によれば、入団テストの要請もすべて断られたという。

 昨季、カラバイヨは.396、87打点、33本塁打と、圧倒的な数字を残してBCリーグの三冠王を獲得した。だが、後期は故障で一時戦線離脱しており、視察に訪れていたスカウトの評価は軒並み低かった。そんな中、最後の最後に「拾い上げた」のがオリックスだったのだ。

 とはいえ、球団関係者もそれほど期待していたわけではなかっただろう。これほど活躍するとは思っていなかったに違いない。カラバイヨは、いい意味で予想を裏切ったのである。

 さて、カラバイヨと言えば、日本語が流暢であることも話題を呼んでいる。群馬の堀口芳明取締役社長によれば、彼の日本語力が急激に伸びたのは昨年だという。その背景にはカラバイヨが尊敬してやまない人物の存在がある。NPBで外国人助っ人初の2000本安打を達成したアレックス・ラミレス(現同球団シニアアドバイザー)だ。昨年、ラミレスは兼任コーチとして群馬に所属していたのだ。

 堀口社長はこう語る。

「カラバイヨがラミレスから学んだのは、野球の技術というよりも、むしろ野球やファンに対する真摯な姿勢だと思いますよ。ラミレスがどうしてこんなにも日本に溶け込んでいるのか、その重要性を間近でいろいろと見て感じたところが大きいと思います」

 ラミレスのNPBでの活躍は、日本を、そして日本野球を理解しようとしたことが大きいと言われる。そのことをカラバイヨは間近で感じ取ったに違いない。日本語の上達はそのひとつの表れだったのだろう。

 カラバイヨの実力をチームで誰よりも認めていたのは、ラミレスだったようだ。「スカウトは見る目がない。NPBに行けば、今すぐに一軍で活躍するのに」

 そう球団関係者にもらしていたという。さすが2000本安打を達成した大打者の見る目は違う。

文=斎藤寿子 写真=BBM
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