芸能界随一の野球通である中居正広さんが、週刊ベースボールにて「“ドシロウト目線”でウオッチング 中居正広のとことん野球好き!!」を月イチで連載。今回は「阿部慎之助」選手についてつづってもらいました。 8月13日の広島戦[マツダ広島]で通算2000安打を達成した阿部慎之助
早いものでペナントレースも佳境を迎えようとしていますね〜。この時期になると優勝争いと同じくらい気になるのが、個人タイトルや記録です。その中で8月13日の広島戦[マツダ広島]で史上49人目の通算2000安打を達成したのが、
巨人の阿部慎之助です。キャッチャー(現在は一塁)という過酷なポジションで2000安打を達成したというのは本当にすごいことですよね。
阿部選手とはテレビの収録などで一緒になることもあるのですが、カメラのないところでも本当に変わらなくて、いつでも自然体。それこそユニフォームを着ていないと「近所にいるふつうのお兄ちゃん」っていう感じです(笑)。いまの若い選手はモデルみたいな体形の人が少なくないですけど、阿部選手はそれこそ僕が小さいころに見ていたプロ野球選手そのもの。どこか昭和の匂いがするところも好きなんですよね〜。
でも、思えば大学を卒業して2001年に巨人に入団したばかりのころは、いまよりもひとまわりも、ふたまわりも体がほっそりしていましたよね(笑)。ドラフト1位でしたから、もちろんいいキャッチャーなんだろなあと思ってはいましたが、前年に巨人は優勝していましたから、すぐにレギュラーとはいかないだろうなと思っていました。
ところが!!
長嶋茂雄監督は阿部選手をいきなり開幕スタメンに抜擢したんです。「えぇ! 本当に!?」って、とんでもなくビックリしたのを覚えています。でも、あれから17年が経った現在も四番としてきっちりと成績を残しているんですから、やっぱりすごい選手です。
長嶋さんから受け取った名球会のブレザーもすごく似合っていましたね。本当におめでとう〜!!
彼のこれまでの試合で印象に残っているのは、プロ4年目の2004年。なんと4月だけで16本のホームランを打ったんです!! いやあ、このときの阿部選手は本当に神がかっていて、それこそバットにボールが当たったらすべてホームランみたいな感じで「もしかして……これはシーズン50本いくんじゃないの!?」って思っていました。でも、その後はケガの影響もあって33本止まりでした。このときに「ああ、野球ってやっぱり難しいんだな」ってあらためて思いましたよね。
あと、僕が阿部選手の一番好きなところはどんな場面でも手を抜かないところです。例えば相手のワンサイドゲームで敗戦が濃厚のときに経験を積ませるという意味で、まだ主力ではない若手のピッチャーをマウンドに上げることってありますよね。そんなときに「あれ、キャッチングが雑になってる?」って思うことって結構あるんです。でも、阿部選手のそういう姿はこれまで一度も見たことがない。若いピッチャーに「大丈夫。オレが絶対に捕るから思い切って投げてこいよ!!」っていう感じで、すごく一生懸命にいつもキャッチングするんです。だから彼はあれだけピッチャーたちにも信用されているんですよね。
だからこそ「キャッチャー・阿部慎之助」を……もう一度見たい!!それが僕のいまの密かな願いです。
PROFILE なかい・まさひろ●1972年8月18日生まれ、神奈川県出身。俳優業だけでなく、司会者としての才能も発揮。「NHK紅白歌合戦」をはじめ、多くのテレビ番組で司会を務めている。プライベートでは大の野球好きでもあり、2013年には「WBC侍ジャパン公認サポーター」を務めた。第4回WBCでも「公認サポートキャプテン」に任命されるなど、豊富な知識とあふれる野球愛でその活躍の場を広げている。