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舞台裏の仕事人

オリックスの球団職員を務める元ソフト日本代表捕手・乾絵美

 

野球界には欠かせない人物を紹介する連載2回目は、元ソフトボール女子日本代表の乾絵美さんの登場。上野由岐子投手の女房役として2008 年の北京五輪で金メダル獲得に貢献し、日本中に感動と熱狂をもたらした彼女。09 年に現役を引退し、10年からオリックスの球団職員として野球・ソフトボールの普及活動に力を注いでいる。
取材・文=鶴田成秀、写真=BBM


競技への恩返しを胸に第二の人生をスタート


自身の経験を野球界の未来を担う子どもたちに届ける――。小学6年生でソフトボールを始め、五輪を目指した14年間。そして、2008年には金メダルを獲得し、世界一に輝いた。完全燃焼で終えた現役生活だっただけに、引退後のことは何も考えていなかったという。そんな中で声をかけられたのが、オリックス・バファローズだった。球団と一緒になり、野球・ソフトボールの普及活動を開始。自らを育ててくれた競技への恩返しを。その思いを胸に第二の人生を歩み始めた。

主な職務内容
◎学校に訪問して競技の普及活動
◎訪問先の学校との打ち合わせ
◎学童野球の大会運営

 現役を引退したのは2009年でしたが、実は08年いっぱいで辞めようと考えていたんです。北京五輪で目標にしていた金メダルを獲れましたし、所属チーム(ルネサス高崎)でも国内の大会をすべて優勝しました。「やり切った」という思いが強く、チームに引退の旨を伝えたんです。でも、こう言われたんです。「自分のことしか考えていないんじゃないか?」と。確かにそうでした。当時、主将も務めていたんですが「チームに恩返し」を何もしていなかったんです。だから、もう1年間プレーしよう、と。09年も国内大会をすべて優勝すると誓い、現役続行を決意しました。そして実際にすべて優勝することができ、引退をしたのが09年12月。ただ、引退後のことは何も考えていなかったんです。

 今までソフトボールしかやってこなかった人生。車の運転免許もなければ、ほかの資格も何1つ持っていない。就きたい仕事も何もなかったんですよね。母の実家が民宿を営んでいて、ただ漠然と「私が後を継ぐのかな」と思っていました。

 そんな矢先の10年1月のことです。知人を通じて、コーチ就任の話がきました・・・

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野球界には欠かせない裏方さんを紹介する連載。

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