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WBC1次ラウンド第3戦vs中国/勝利に導くワンプレー

指名投手からセットアッパーへ 平野佳寿

 

平野ら投手陣も結果を残し、投手陣は形が整ってきた


 2次ラウンドに向けて大きな収穫とした。

 前日のオーストラリア対中国の結果(オーストラリアが勝利)により、試合が開始される時点で日本の1次ラウンド1位突破が決まっていたため、3月10日に行われた第3戦の中国戦(東京ドーム)は、今後のラウンドを戦う上での戦力の見極めに充てられた。

 坂本勇人青木宣親を先発から外し、田中広輔をショートに、平田良介をライトに起用する余裕を見せながら、3戦連続で先発マスクとなった小林誠司が2回に2ラン、3回には2試合連続弾となる中田翔の2ランなど、大会を通じて中心となる選手たちが結果を残し、早々に試合の趨勢を決めた点は大いに評価ができる。

 一方で3回までに5点を奪いながら中盤の4、5、6回を淡白に打者9人で終えてしまった点には詰めの甘さを感じるが、「休ませる選手は休ませて、投げていない投手を投げさせられた」(小久保裕紀監督)点をプラスにとらえるべきだろう。キューバ(プールBの2位)、イスラエル(プールAの1位)、オランダ(プールAの2位)と対戦する2次ラウンド(東京ドームで開催)では、1次ラウンドよりも格段に打者のレベルが上がる。決勝ラウンド進出のカギは投手陣が握ると予想されるため、すべての投手を本番の舞台で確認したかったわけだ。

平野の決め球、フォークは今後の戦いで威力を発揮するだろう


 この日の試合に先発した武田翔太こそ、カーブが抜け、ボール先行の投球に苦しむ不安の残る登板となったが、後を受けた大会初登板の藤浪晋太郎増井浩俊松井裕樹は危なげないパフォーマンス。最後は秋吉亮が3人で締めるなど、「投手陣はある程度、形が見えてきた。ピッチャーがいい状態になったというのが一番の収穫」と小久保監督も2次ラウンドを戦う手応えを得たようだ。

 中でも今大会2度目の登板となった平野佳寿である。8回に5番手として登板し、わずか9球、2三振と結果を残した。初戦のキューバ戦はスライダーを多投し、1安打1四球、自責点2だったが、本来の勝負球はフォーク。この日、低めに制球されたフォークは、2次ラウンド以降の欧米諸国の打者により威力を発揮するだろう。クローザーの牧田和久につなぐ、セットアッパーとしてメドが立ったことは大きな収穫である。

 今大会からラウンドごとに投手の入れ替えが可能な「指名投手枠(制度)」が設けられているが、28人の登録選手の中で入れ替えが可能なのは、その「指名投手」に指定されている平野1人だけ。1次ラウンド全日程が終了したこの日の試合後、投手の入れ替えについて問われた指揮官は「入れ替えはありません」と明言しており、間接的に平野への信頼が明かされたかっこうだ。

「やることをやって任されたところでしっかり投げたい」と話す、日本投手陣最年長32歳の右腕が2次ラウンドも勝利をつなぐ。

文=坂本匠 写真=小山真司
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