センバツ・リポート／勝利の裏側
盛岡大付が“乱打戦”で見せた２つの“攻撃的スタイル”
延長10回裏、好判断で三塁を陥れた盛岡大付の三浦奨。サヨナラ勝ちを呼び込んだ
■３月20日（月）１回戦
１２３ ４５６ ７８９ 10 計
高｜２０１ ３０２ ０００ １ ＝９
盛｜２１０ ３２０ ０００ 2×＝10
瞬時の判断が勝利を手繰り寄せた。３月19日に開幕したセンバツ高校野球。壮絶な乱打戦となった大会２日目、高岡商（富山）と盛岡大付（岩手）の１回戦。試合は９回を終わって両軍計23安打、２本塁打が飛出し８対８で延長戦に突入した。
この試合、初回、４回と２度のリードを許すも、そのたびに同点に追いつく盛岡大付。取られたら取り返す――。盛岡大付が掲げていたのは�犢況眦�スタイル�瓩世辰拭�関口清治監督が言う。
「岩手には花巻東というライバルがいて、ウチも花巻東さんも守り勝つ野球だった。でも、そこ（花巻東）に勝たないと甲子園には行けない。それに全国で勝つにはやっぱり打てないといけない。だったら、スタイルを変えようと。そこで2011年の秋から打撃に力を入れ始めたんです。当時は大谷翔平君（現日本ハム）という怪物もいましたし」
練習の８割以上を打撃に割いて培ってきた強打。甲子園�狃蘊〕��瓩鮠�った昨夏は、３試合で41安打５本塁打をマーク。その強打を今センバツでも見せつけ、とにかく打ち勝つ――。１回戦、延長12回表には１点を奪われるも、その裏に２点を奪って10対９の逆転サヨナラ勝ちで、同校のスタイルを全国に印象付けた。
さらにこの試合、勝利を呼びこんだ、もう一つの�犢況眦�スタイル�瓩�あった。場面は延長12回裏、無死一塁。代走に背番号16の三浦奨が送られる。
「自分は同点のランナー。絶対に�猖汁��瓩鬚靴討魯瀬瓩隼廚辰討い泙靴拭廖併葦詐�）
次打者・植田拓が放った打球は三塁手の失策を誘う強襲打で、打球は遊撃手と左翼手の間を転々――。すると、一走の三浦奨は、迷わず二塁を蹴って三塁へ。頭から滑り込み、間一髪セーフと紙一重のタイミングだった。仮にアウトとなっていたら�猖汁��瓩噺世錣譴討睫詰�はない。だが、三浦奨には自信があった。
「遊撃手がボールを捕りにいったので。三塁に背中を向けた遊撃手は体勢が悪く、すぐには送球できない。左翼手だったら自分は走りませんでした」
好走塁で無死二、三塁と好機を拡大。そして、直後の林一樹のサヨナラ２点適時打を呼び込んだ。
実は、三浦奨は今大会直前までメンバーから漏れており、登録変更でベンチ入り。50�達吃達垢竜嗄呂了�ち主で、昨秋の県大会も代走で出場して盗塁を成功。強打のチームだからこそ�狃啾��瓩鯣瑤个靴篤静牲�に進めば、得点の確率はグンと上がる。だから、足のスペシャリストをベンチに入れていた。
「これが自分の生きる道です」――。
貫く�犇�打�瓩了兩�。さらに冷静な頭と足で�犢兇瓩伸畊チ�塁。２つの攻めで盛岡大付が勝利をつかみ取った。
文＝鶴田成秀 写真＝牛島寿人
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週刊ベースボール編集部
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