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ロッテ・三家和真がスイッチヒッターになった理由

 

5月28日のオリックス戦(ZOZOマリン)では一軍でスタメン出場を果たした三家


「体育の授業でソフトボールがあったんです。体育の先生が野球部の監督でもあったんですけど、『野球部は全員、逆の打席に入れ』って。それで僕は左打席に入ってバリー・ボンズ(元ジャイアンツほか)の物まねをして打ったんですよ。そうしたら監督が、『お前、左もいけるやん。真剣にやってみい』って」

 NPBでも希少種になりつつあるスイッチヒッター。今季、ロッテにテスト入団した三家和真も、両打ちを武器にして4年ぶりとなるNPBの舞台へ戻ってきた。もともと、右打ちだった三家が両打ちに転向したのは市和歌山高2年生の冬。そのきっかけが冒頭の言葉だ。

 体育の授業があったその日の練習から、三家はスイッチヒッターとなった。最初は練習試合などでも、相手投手の左右に関わらず半分の打席は左に入って精度を高めていき、そこから1年も経たぬうちに、広島から育成ドラフト4位の指名を受けることになる。

 ケガもあり、2年で戦力外を通告されたが、独立リーグでの3シーズンを経て、今度は支配下選手としてふたたびチャンスをつかんだ。その理由の一つがユーティリティー性にあることは間違いないだろう。両打ちであることはもちろん、外野が主戦場ながら二軍戦では試合終盤になると内野に回ることも多い。

 昔から器用だったのか。そう問うと、「どうですかね、自分では分からないですよ」と笑いながらも、「内野はちょっとやったことがあったくらいなので」と明かした。「(内野は)打球がめっちゃ速くて」と言いながら、あっという間にアジャストしたその対応力こそが三家の魅力の一つだ。

 5月21日には自身初の一軍昇格を勝ち取った。10日間でロッテ浦和へ逆戻りとなってしまったが、その間に一軍での初出場、さらにはスタメン出場という得難い経験も重ねた。「次は(一軍で)ヒット。一つひとつ、でもガムシャラに」と先を見据える三家。どんな環境でもしなやかに、全力で、これからも“対応”していくはずだ。

文=杉浦多夢 写真=榎本郁也
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