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「おにぎり君」日本ハム・横尾俊建という男

 




予定調和のインタビューほど、つまらないものはない。

投げかける質問に対して、良い意味で期待を裏切ってくれる「想定外の答え」が返ってくると、一瞬たじろぐが、これは何かおもしろい展開になりそうだ……とこちらのギアも一気に上がる。最近そう感じさせてくれたのが、日本ハム横尾俊建(インタビューは現在発売中の週刊ベースボール5月1日号に掲載)に話を聞いたときだ。

昨年はルーキーながら開幕一軍に抜擢され、そのずんぐりむっくりの風貌から西武中村剛也の小型版として「おにぎり君」のニックネームでプチブレークを果たした。だがプロの壁は厚く、すぐにファーム落ち。チームは10年ぶりの日本一に輝いたが、横尾自身はほとんど戦力になれずに1年を終えた。さぞかし複雑な思いで歓喜の瞬間を見届けたんだろうと思っていた。しかし、返ってきた答えは「まったく悔しくなかったです」。

せっかくスターダムに駆け上がれるチャンスを得て、それを掴めなかったのに、なぜそう思うのか──。その真意を聞くと、入団2年目の若手とは思えない思考があった。「ドラフト6位で即戦力としても球団も獲っていない」「1年目は準備期間。そこから先はもうドラフトの順位なんて関係なくなる」など、その理由は23歳にしてどこか達観したものがあり、これまで漠然と思い描いていた横尾のイメージもガラリと変わった。

見た目のやさしい笑顔と風貌とは裏腹に、考え方もプレースタイルも、クレバーな一面も持つ次世代の和製大砲。ケガ人続出のチームにあって、2年目の今シーズンはスタメン起用のチャンスも増え、その存在感を日増しに高まっている。ドラフト6位からの大ブレークへ。

 静かに牙を研いできた「おにぎり君」が、満員の札幌ドームで特大アーチを架ける日はそう遠い未来ではないはずだ。

文=松井進作 写真=高原由佳
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