春季県大会で初のベスト4進出を果たした星槎国際湘南高
春季神奈川県大会は4月25日、準々決勝2試合が行われ、第1試合で星槎国際湘南高が昨秋の県優勝校・慶應義塾高を3対1で下した。
星槎国際湘南高は昨秋、初めて8強進出を遂げ、今春は初の4強と、夏の第1シードを獲得している。
チームを率いるのは、土屋恵三郎監督だ。桐蔭学園高で捕手だった現役時代、甲子園初出場で全国制覇。母校指揮官としても10度、甲子園へ導いた名将で、
巨人・
高橋由伸監督らを育成している。同校就任からわずか3年目にして、全国屈指の激戦区・神奈川で強豪校の仲間入りを果たした。
土屋監督が試合後の取材のたびに強調するのが、環境面のハンディだ。
「グラウンドがないところでやっています。桐蔭では(外野)人工芝、室内練習場もあった。今は雨が降ったら、教室でスイングするんです」
週3回は近隣の中井球場を借りるが、これも定期的ではない。学内で練習する場合は、テニスコート3面のスペースを使う。現チームにはプロ注目の146キロ右腕・
本田仁海(3年)、左の強打者である四番・
松下壮悟(2年)と投打の中心選手がいるが、土屋監督は“たたき上げ”を強調する。
「エリートでなくても、一生懸命やれば、ここまで伸びる。公立校の見本になればいい」
この日、保土ヶ谷球場のスタンドには、NPB全12球団が集結。
ヤクルトは4人、巨人は
岡崎郁スカウト部長ら球団幹部も顔をそろえ、本田の投球を見守った。
6安打1失点で11奪三振をマークした本田。試合途中、球審から二段モーション(左足)を指摘される場面もあったが、「クイックモーションにしろ」と、土屋監督の指示に従い、見事に修正してみせた。
20人以上のプロ関係者が視察したことに対し、本田は「プロで活躍したい。そのためにも、結果を残さなないといけない。この春はシード権獲得が目標だったので、第1シードを取れて良かったです」と、幕切れでは派手なガッツポーズを見せた。
「これからも、挑戦したい」
関東大会進出まであと1勝。土屋監督は30日の準決勝を見据えていた。
文=岡本朋祐 写真=菅原 淳