週刊ベースボールONLINE

新進気鋭“取材秘話”

真っ向勝負こそロッテ・二木康太の真髄

 

ロッテ先発陣の軸となりつつある二木康太


 5月27日のオリックス戦(ZOZOマリン)、自身初の完封勝利まであと1人というところで、二木康太選手はT-岡田選手に右翼へ一発を浴びました。キャッチャー・田村龍弘選手のサインに首を振って投げ込んだ渾身のストレートは、田村選手の構える外角ではなく、ど真ん中に近いインコースへ。T-岡田選手はその1球を見逃しませんでした。

「逃げたくない――ですね」

 週刊ベースボール6月12日号(5月31日発売※一部地域を除く)のインタビューの中で、最も印象に残る二木選手の言葉です。T-岡田選手との場面でも、「自分の一番自信のあるボールで勝負したい」という信念を貫いての真っ向勝負だったのでしょう。後続を断って1失点の完投勝利(2対1)を収めたのはさすがでした。

 普段は飄々とした佇まいと語り口ですが、熱い思いを胸に秘めていることは間違いないでしょう。現在は自らの力で先発ローテーションの座を取り戻したものの、開幕先発ローテ入りを逃したときの悔しさは、想像するに難くありません。

 思えば1月のロッテ浦和。新人合同自主トレが行われ、佐々木千隼選手をはじめとするルーキーたちに視線が集まる中で、1人黙々と、何時間もグラウンドを走り続けていたのが印象的でした。今は体の厚みも増し、「(体重は)3キロくらい増えましたけど、まだまだです」。昨季は後半戦に入ってスタミナが切れ、投球の精度が低下。シーズン中盤へ向けた体力面はこれからの課題ですが、自らのなすべきことに取り組む意識は高いものがあります。

 メンタル面でも「負けてもすぐに切り替えができるようになった」と話しますが、オフの気分転換については、「趣味とかないんですよね。暇人です」と笑います。それも野球に対するストイックさの裏返し――かは分からないですが、淡々と、それでいて熱い心を持ったカモメの若き右腕の思いに触れられるインタビューです。
文=杉浦多夢 写真=榎本郁也
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング