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CULTURAL Review about Baseball/MUSIC

カルチャー方面から支援されるスワローズが羨ましい。

 

タワーレコード限定シングルとして発売されている


 2017年野球音楽界・最大の話題作である。

 クリープハイプとは、本誌にも何度か登場している、スワローズファンの尾崎世界観がボーカルのロックバンド。映画『君の名は。』で名を馳せたRADWIMPSと並ぶ、日本の今のバンドシーンの雄である。

 ただし、音作り自体はロックというより、どちらかと言えば、しっとりとしたダンスチューンである。このあたりは、今人気のトラックメーカー=STUTSのテイストだろう。

 そして、歌詞の内容はと言えば、スワローズの歌というより、神宮球場の歌。歌詞カードには大きく神宮球場の写真がフィーチャーされているし、また歌詞に「傘を開いて」や、さらには「花の都の真ん中」というフレーズまである(ちなみに、このCDのカップリングは何と『東京音頭』)。

 実はこの前、「水道橋博士のメルマ旬報」というメルマガ用に、尾崎世界観氏と対談をさせていただいた。若いロッカーにして野球ファンというのは、最近少ないと思うのだが、そういう稀有な存在の1人だった。過去のスワローズの選手では、田中浩康馬場敏史が好きだったというから渋い。

 また、この曲は、スポーツライター・長谷川晶一の新刊『いつも、気づけば神宮に』(集英社)を読みながら聴きたい音楽でもある。

 それにしても尾崎世界観や長谷川晶一、さらには村上春樹など、カルチャー方面から支援され、音楽や本で関連作品が生まれていくスワローズはとても羨ましい。マリーンズファンの音楽家やライターはいないものか。私だけだと多勢に無勢、何とも心細い。
文=スージー鈴木(野球文化評論家)
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