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日大三高のエース左腕・櫻井周斗、「二刀流」で最終決戦へ虎視眈々

 

投打の「二刀流」として春夏連続の甲子園を目指す日大三・櫻井


 6月19日発売の『第99回全国高校野球選手権大会予選展望号』(週刊ベースボール6月24日号増刊)の巻頭カラーでは今夏、最も注目される「西東京大会」を特集する。

 6月17日には東京都内で東西に分かれた抽選会が行われ、いよいよ、7月8日の開幕を待つばかりである。

 西東京の第1シードは春の東京大会優勝の早実。同決勝で延長12回、17対18で惜敗した日大三高は第2シードだ。早実は組み合わせ表の左上に入り、日大三高は対角線の右下。つまり、7月30日に予定される決勝まで顔を合わせることはない。

 早実と日大三高と言えば、東京における「黄金カード」で、数々の名勝負を重ねてきた。さかのぼれば、2006年夏の決勝、早実はエース・斎藤佑樹(現日本ハム)を擁して、延長11回でサヨナラ勝ち。夏の甲子園では初となる全国制覇に輝き、仮にこの決勝で負けていれば「佑ちゃん」「ハンカチ王子」は、誕生していなかったと言われる。

 5年後、2011年夏の決勝は日大三高がリベンジ。優勝インタビューで、日大三高の主将・畔上翔(法大−現ホンダ鈴鹿)が「(小倉全由)監督を男にします!」と甲子園制覇を宣言すると、10年ぶり2度目の優勝。以降、夏の決勝では対戦していない。

 早実・清宮幸太郎は1年夏、準決勝で対戦し、自身の2点タイムリーで2対0の勝利。そして昨秋もサヨナラ勝ちで日大三高を下したが、清宮は野球人生で経験のない5打席連続三振を喫している。

 マウンドで対峙したのが左腕・櫻井周斗(3年)だ。伝家の宝刀・スライダーを武器に、怪物のバットに何度も空を切らせた。今春の決勝は「温存」。すべては最終決戦にかけている。

 櫻井は投手だけでなはなく、打者としてもプロ注目の存在だ。5月末時点で高校通算28本塁打と、甘いコースは、いとも簡単にスタンドインできるパワーがある。不動の三番として、四番・金成麗生(3年)とともに「強打・三高」の顔である。

「二刀流」としてチームをけん引する櫻井に対清宮への秘策を聞くと、「自分たちが、夏までにもっとうまくなればいい」との答えが返ってきた。もちろん、作戦を披露できるはずもない。ただ、その不敵な笑みから、手応えを感じた。日大三高は今春のセンバツで初戦敗退ながら、櫻井は履正社高のスラッガー・安田尚憲(3年)からスライダーで、3三振を奪っている。

「櫻井対清宮」。プレートから本塁まで18.44メートルをめぐるライバル対決は果たして、やって来るのか――。ともに決勝まで5試合を勝ち上がらなければならない。厳しい一発勝負の夏が間もなく、幕を開ける。
文=岡本朋祐 写真=長岡洋幸
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