キレのある速球とカーブを武器にした小野
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は6月29日だ。
6月27日時点のパ・リーグの順位表を見ると、もう、どうしようもないくらい差がついての最下位に
ロッテがいる。ただ、もしここから18連勝し、ほかが全部負けたら17ゲーム差ある3位・
西武を追い抜くことになる(まだ借金が8もあるのが恐ろしいが……)。
もちろん、18連勝なんて簡単にできるものじゃないし、実際には他チーム同士の対戦があるから、そんなことはあり得ないのだが、1960年6月29日は、ロッテの前身である大毎が18連勝した日。マリーンズファンも、しばし空想にひたってほしい。
この年の大毎オリオンズは、
西本幸雄新監督の下、
山内和弘、
榎本喜八、
田宮謙次郎らを擁する“ミサイル打線”と言われた強力打線でパを制覇した。
圧巻は6月5日、対近鉄ダブルヘッダー第2試合から始まった18連勝だ(1分けはさむ)。6月29日、やはり近鉄とのダブルヘッダー第2試合まで続き、30日にストップした記録だが、この間の勝利投手がまたすごい。うち11勝が左腕の
小野正一だ。
もちろん、すべてが先発というわけではなく、勝ちパターンならリリーフでも登板。小野はこの年33勝11敗、防御率1.98で最多勝、最優秀防御率に輝いているが、45試合の登板で21勝は救援勝利だった。185センチの長身からクイック気味の投法が特徴。天才肌でムラのあるタイプだったというが、この年は女優・仁木多鶴子さんとの結婚もあってか安定感があった。
勝負の世界は勝敗がすべて。マリーンズナインは熱狂的なファンのためにも最後まであきらめずに戦ってほしい。目指せ、18連勝の再現を! 間違っても98年の18連敗は再現しないように……。
写真=BBM