9回表に抗議に出た東尾監督(左)。このときはしぶしぶ引き下がったが……
プロ野球の歴史の中で、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は7月10日だ。
6月28日に42歳の若さで死去した
西武・
森慎二コーチ。そのルーキーイヤー、1997年の登板記録を見ていたら2度目の先発登板となった7月10日にある事件があった。
と言っても森は4回途中4失点で降板。結果的には、この試合以降抑えに定着し、西武優勝に貢献することになるのだからターニングポイントとなった試合と言ってもいいだろう。ただ、事件自体は森とは関係ない。降板後の出来事だ。
近鉄戦(大阪ドーム。現京セラドーム)の9回表無死一、二塁で二走の西武・
奈良原浩が捕手からのけん制でアウト。これに抗議して塁審の胸を突き、奈良原は退場となった。ベンチから血相を変えて飛び出していた西武・
東尾修監督に向かい、塁審が機先を制し、「抗議は受けつけません」とピシャリ。このときは「何だ、この野郎!」の捨てゼリフを残し、東尾監督もしぶしぶベンチに引き揚げた。
しかし、試合が3対5で敗れた後、怒りが再燃した東尾監督は、控室に引き揚げようとする、その塁審をつかまえ、「なめとんか。抗議を受けつけんのはどういうこっちゃ!」と胸ぐらをつかみ、右足で回し蹴り。すでに試合は終わっていたが、塁審は放送室に駆け込み、「暴行のため東尾監督を退場処分とします」と宣告した。
結局、東尾監督は3試合の出場停止と制裁金10万円を科され、3試合は
須藤豊ヘッドコーチが代理監督を務めている。
写真=BBM