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高校野球リポート

早実・清宮幸太郎の取材の裏側とは?

 

試合後、大勢の記者に囲まれる清宮


 昨秋、大会を運営する東京都高野連のある関係者がふと、つぶやいた。

「まるで芸能人だな」

 この3年、早実・清宮幸太郎の取材体制は“厳戒ムード”が漂っている。

 7月8日の開会式では3年連続で別室の控え室(他の部員、学校は原則スタンド)が用意され、終了後、神宮から引き揚げる際には関係者5人ほどがガード。周囲のファンも、足早に移動する異様な光景に、目が点になっていた。

 試合3日前ほどには、大会主催者からメールが送信されてくる。用紙には当日の取材要綱が掲載。試合開始90分前に一、三塁のカメラ位置の抽選が行われるとの連絡事項も書いてある。混乱を避けるため、プロ野球と同様のシフト。昨夏までは説明だけであったが、今夏からは2枚目に取材申請書が追加され、事前に登録(FAX)するシステムとなっている。

 21日は西東京大会5回戦だが、清宮が「私たちは野球を愛しています」と選手宣誓した開会式を含め、今回が4回目の申請となった。当日は球場正面で受け付けし、取材パスを受け取る。このデイパスが登場したのも、清宮が入学した2015年以降で、今夏はダブルチェックとなったわけだ。

 試合後の取材も段取りよく進む。4回戦までの会場だった八王子では階段の踊り場が臨時記者会見スペースとして使われ、東京都高野連のバックボードも準備されている。

 まずはテレビ取材。主将・清宮、指名選手一人、和泉実監督の順に各約5分対応する。そのあとはペン取材。一度下がった3人が再び、個別に話をしてくれる。このスペースは通路であり、空調は効いていない。50人以上の報道陣が密集し、蒸し風呂状態で、汗がどっと噴き出してくる。

 通常の試合後取材は監督、選手とも「同時」であるから、記者の視点が問われる。ただ、早実の試合では記者一人でも複数の人の話が聞けるメリットがある一方、全社横並びで、限られた選手の声しか拾えないデメリット(独自性を出すのが難しい)もある。ただ、安全性を考慮すれば、芸能人並の対応がベストなのかもしれない。

 幸い、清宮は声が大きくて、ハキハキしている。囲みの後方でも十分、言葉を聞き取ることができる。21日の5回戦以降は神宮が試合会場。コメント力のある怪物から、今後も見逃せない。

 ちなみに、早実の試合が終われば、すぐさま、取材パスは回収。次の試合が控えていても、使われることはない。早実、いや、清宮のために準備されたシフトなのだ。高校通算本塁打以外にも、多くのインパクトを残している。

文=岡本朋祐 写真=佐藤博之
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