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高校野球リポート

早実・清宮幸太郎のホームランボールの行方

 

個人本塁打記録とされる「107」まで、あと1本とした清宮


 ついに“王手”をかけた。

 早実・清宮幸太郎(3年)が7月21日の西東京大会5回戦(対法政大高)で高校通算106号となる先制アーチを放ち、チームも5対0で勝利して準々決勝へ進出した。

 今春の東京大会準々決勝から、関東大会(2試合)、今夏も3回戦から3戦連発で、つごう公式戦8試合連続本塁打となった。これで神港学園・山本大貴(元JR西日本)の持つ個人本塁打記録とされる「107」まで、あと1本とした。

 この日の打球はまさに“規格外”だった。清宮も「芯だったが、こすった感じ」と振り返ったように、打球が打ち上がった瞬間は、角度的にだれもが「センターフライ」かと思った。法政大高の中堅手も落下地点を確認したかのように一度、足を止めた。

 しかし、ややフォローの風にも乗って、そのまま左中間へスタンドイン。かつての田淵幸一(元阪神ほか)ではないが、まさにアーチストの弾道であった。

 客席では、待ちに待ったファンがホームランボールをゲット。このボールの行方はどうなるのか? プロ野球の場合だと、ボールと引き換えに選手グッズがもらえることもある。東京六大学野球ではファウルボールでも、連盟特製バッジと交換してくれる。

 しかし、高校野球はファンサービスの「興行」ではなく、あくまで「教育活動」の一環である。東京都高野連関係者に聞けば、補助員(部員)か高野連の先生がすぐに回収へ向かい、試合後、本人に手渡されるという。ただ、例外として子どもの場合は、連盟公認球をプレゼントすることもあるらしい。

 107号のタイ記録で特別な対応があるのかと聞けば、「ないです」(高野連関係者)と即答。それでは、新記録となる108号については? と突っ込んだが「変わらないです」。バックスクリーンのビジョンなどに表示される演出も考えていないという。

 甲子園をかけたトーナメント。個人の記録よりもチームの勝ちが最優先。相手校もあることだから、当然と言えば、当然の大会運営である。

 25日の準々決勝。神宮の右翼席には「記念球奪取」を目的に足を運ぶファンもいるだろうが、本人の手元へ届くように協力してほしいものだ。

 しかし、2年前の春。清宮は都大会準々決勝(対関東一)で高校1号を放った際、後日、そのボールは自宅の練習用ボールとしたことを明らかにし、「さすが大物!!」と周囲を驚かせた。107、108号の保管はどうするのか――。「メジャーで本塁打王」を目指しているスラッガー・清宮だけに、特別なこだわりは見せないような気がする。

「甲子園出場が一番です」

 キャプテンはそう言うに違いない。

文=岡本朋祐 写真=菅原淳
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