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山田久志 対 門田博光。古き良き時代の真っ向勝負

 

門田に常にストレート勝負を挑んだ山田


 1970年代から80年代にかけて通算284勝をマークした史上最高のサブマリン・山田久志が対戦していて最も気合が入った相手は門田博光(南海ほか)だったという。

「門田さんは小細工なしのフルスイングで、すべての打席でホームランを狙っている。こっちも『打てるものなら打ってみろ』と。ストレート勝負にこだわりましたね」

 打たれたら、もっと速いボールを投げたいとストレートに磨きをかけた。山田の成長を促してくれた門田。対戦によって、調子のバロメーターを計ることもできた。ストレートで抑え込むことができたときは自信を持ってマウンドに立てた。

 年齢を重ねて、駆け引きで打者と勝負するようになっても、門田に対してはストレート勝負を貫いた。

「変化球勝負をするようになったら、今までのストレート勝負はなんだったのか、と。変化球で抑えても快感がない。門田さんに対して失礼じゃないかという心境に陥ってしまった」

 だから、最後までストレートで勝負することにこだわった。

「変な話、門田さんとは“貸し借り”もあった。例えば門田さんがどん底のときには調子を取り戻すために手を貸してあげよう、と。バシンッとフルスイングできるボールを、あえてヒューッと投げる。逆に私の調子がイマイチのとき、おそらくわざと三振しているのだろうというのが分かった。ボールが走っていないとき、真ん中のベルト付近を空振りするんだから」

 古き良き時代、それもありじゃないか、というときの野球の話だ。
文=小林光男 写真=BBM
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