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長打力が加わったドラフト候補、西川愛也。宿敵を破って埼玉夏3連覇へ

 

天性のバットコントロールに長打力も加わった西川


 一気にスピードを上げた。7月24日、県営大宮公園球場で行われた全国高校野球選手権埼玉大会の準決勝、山村学園戦。花咲徳栄は7回表、2対1から5点を挙げ、さらに二死満塁で打席には西川愛也が入った。素直にはじき返した打球を中堅手が後逸すると、一気にホームまでかえってきた。高校通算30号は満塁ランニング本塁打。その裏をゼロに抑えた花咲徳栄は7回コールド、11対1で山村学園を下した。

 今年3月、花咲徳栄のグラウンドにライトから右中間にかけて防球ネットが設置された。高さは約25メートル。右翼まで93メートルあり、100メートル以上の弾道でなければネットは越えない。しかし、フリー打撃で西川が打席に立つと、次々とそれも楽々とその上を越えていく。聞けば「ボールの下を叩いてスピンをかけることを意識している」という。

 昨夏の埼玉大会では「つなぎの四番」として打率5割の活躍。2年連続甲子園出場に貢献すると、自身2度目の聖地では3試合で計6本のヒットを放った。

 もともと左右に打ち分けるバットコントロールには定評がある。ただ、昨年まで通算12本と本塁打は多くなかった。それが今年に入ると、練習試合解禁後にサク越えを量産。これはオフのトレーニングの成果だ。恒例の地下足袋を履いての下半身強化を行う一方で、新たに約10キロのハンマーで古タイヤを叩くトレーニングを導入。これによってインパクトの瞬間に押し込む力を養った。

 天性の打撃センスに飛距離が加わった。子どものころからあこがれの打者は高橋由伸巨人監督)。プロ注目の左打者は「ああいう軌道がきれいな打球が打ちたい」と話す。

 7月26日に開催予定の決勝戦の相手は昨秋、今春ともに県決勝でサヨナラ負けを喫した浦和学院だ。甲子園で「去年より進化した姿を見せるつもり」だから負けられない。宿敵を破って、夏の埼玉大会3連覇を成し遂げる。

写真=BBM
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