記念ボードを掲げて歓声に応える松井
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわって「その日に何があったのか」紹介していく。今回は7月28日だ。
現時点ではパ・リーグの首位を守ってはいるが、ここに来てペゲーロ、
岡島豪郎と外野手の登録抹消が相次ぐ
楽天。故障者があまりに多く、7月22、23日と行われた二軍とベースボールファーストリーグ(BFL)選抜との交流戦では、相手から野手1人を借りるという緊急事態に陥っている。
その中で渋い存在感を見せているのが、41歳のベテランの
松井稼頭央だ。古くからのファンからすれば「強打のショート・松井」の記憶が鮮やかだが、いまは外野手として代打、守備固め、さらには代走までこなしながらチームに貢献している。
2015年7月28日は、松井がプロ野球46人目、スイッチヒッターとしては
柴田勲(
巨人)に続く2人目の「日本通算2000安打」を放った日だ。
ソフトバンク戦(秋田)、1回一死の第1打席。
中田賢一の低めのスライダーに反応した一打。そのシーンは、やはりスローモーションに見えたのだろうか。
「うん、見えたよ。打球が遅かったから、見ている時間はたっぷりあったから(笑)。それをスローモーションって言うんか、分からんけどね」
試合後、秋田市内で行われた会見。壇上のスターは、茶目っ気たっぷりに笑った。
「正直、プレッシャーは感じていた。仙台でもあれだけのファンのみなさんに応援してもらって。この東北の、秋田のファンの前で達成できて、よかったなと」
節目の1本はプロ入り後に鍛え上げた左打席で打った。
西武から始まり、メジャーを経て11年、楽天で日本球界復帰と、波乱万丈の野球人生。日米通算は2622安打、3000安打までは「ほど遠い」と笑った。あれから2年。金字塔には、まだ300安打以上がある。
ただ、スイッチ、メジャー挑戦、40歳以上でプレー。不可能を可能にしてきたのが、松井の野球人生でもある。道は遠いが、可能性はある。
写真=榎本郁也