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高校野球リポート

清宮幸太郎が先輩・荒木氏との対談で語ったこと

 

認められればあこがれのメジャーで


早実・清宮は甲子園まであと2勝。28日には昨夏の準々決勝で敗退した八王子との準決勝を控える(写真=菅原淳)


「夏の甲子園出場」だけに集中している高校球児。

 あと2勝――。

 西東京大会準決勝を控え、早実の主将・清宮幸太郎も1年夏、3年春に続く自身3度目の全国舞台へ向け、目の前の戦いだけに集中している。

 卒業後の進路についての質問は、学校関係者の要望により、高校野球が一区切りとなるまで「NG」。3年生となり周辺は、ピリピリムードとなっている。純粋に白球だけを追いかける――。そうした“配慮”が背景にはある。

 こうした“厳戒態勢”となるのも想定内。高校入学時から分かっていたことである。そこでまだ、緩やかな時期を見計らって、清宮に聞きたい問いをぶつけた。

 1年夏、西東京大会開幕前の展望取材。この年は夏の選手権大会がスタートして100年という節目だったことから、小誌企画で早実OB・荒木大輔氏が母校を訪問取材。荒木氏の高校在学当時は「武蔵関グラウンド」であったが、現在は八王子市内の「王貞治記念グラウンド」。初めて足を運んだ練習場で、清宮との10分の対談インタビューが実現した。

荒木 将来の目標は?

清宮 プロへ行って、認められればあこがれのメジャーでプレーしたい。何度かアメリカへ行って試合を見て、球場にも入らせてもらった。大学へ進学するかまだ、何も考えていないですが、いずれはプロへ行きたい。

荒木 実はオレの場合、いまだに大学へ行きたかったと思っている。だけど、プロ野球を純粋に考えれば早めに入団したほうが仕事として多くの経験を積める。ただ、人間の幅を広げる意味では、変わったかもしれない。

清宮 なるほど……。行っている人と行っていない人は違いますか。

荒木 たぶん、違うとは思うけど、自分で選んだ道が正解だと思う。

清宮 よく、考えたいと思います。

 荒木氏は早実から直接プロ(ヤクルト)入り。一時は早大進学に傾いていただけに、清宮の心情はよく理解できる。大先輩の思いが伝わったからこそ、清宮は包み隠さず「将来の夢」を語ったのだ。

目標は大きいほうがいい


2015年6月、西東京大会前に早実OB・荒木大輔氏との対談で1年生・清宮は「将来」について語った(写真=長尾亜紀)


 進路に関する「2度目の機会」は記述式だった今春のセンバツアンケート。そこで「将来の夢」の欄には、「メジャー・リーグで本塁打王」と達筆な文字で書かれていた。

 18歳。ここまで具体的な展望を掲げる高校球児も珍しい。後日、本人に確認すれば「目標は大きいほうが良いので」と語っていたが、今後もそこをモチベーションに野球を続けていくことは間違いない。高校やまたは大学、社会人を経由してNPBで実績を積むのが一般的な流れだが、最短距離は他にもある。

 高校からメジャーを目指す道だが、あくまでプロ志望届は提出しなければならない。NPBドラフトでの「指名漏れ」を経て以降、メジャー球団が触手を伸ばす、暗黙の紳士協定ある。2012年、かねてからメジャー志望だった花巻東・大谷翔平日本ハムが「強行指名」に踏み切ったのも、“ルール内”の動きであった。

 清宮は1年時のインタビューのように「認められれば」と、まずは堅実な道を歩もうとしていた。だが、この2年で状況は大きく変わった。夢のメジャーへ、新たなルートを模索するのか――。興味は尽きないところだ。

文=岡本朋祐
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