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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

新天地で愛される35歳、DeNA田中浩康の姿勢

 

今季はおもに左投手が先発する試合で出場機会が多い。固い守備でチームに貢献する


 今季、DeNAに新加入した35歳のベテラン、田中浩康がチームに活力を与えている。7月25日の阪神戦(甲子園)、4回に四球で出塁すると続く三番、筒香嘉智が中安打。阪神の中堅手、西岡剛の捕球した位置が深いと判断すると、二塁ベースから一気に加速してヘッドスライディングで三塁を陥れた。

 ベテランがユニフォームを汚し、ひた向きにプレーする姿は心を打つ。「浩康さんが必死でつないでくれたので──」。今季、このフレーズは筒香はじめ何人ものDeNAの選手が口にしている。

 12年間を過ごしたヤクルトではゴールデン・グラブ1度、ベストナインは2度獲得するなど球界を代表する内野手として時代を築いた。しかし、山田哲人ら新しい力の台頭によりスタメン出場は減り、2016年末に戦力外通告を受けた。ヤクルトからコーチ就任を打診されたが、現役続行への思いが強かった。

 2016年末、DeNA入団が決まった田中浩康は都内のトレーニングジムで精力的に汗を流していた。チーム合流前に、一から体をつくり直す決意だった。「メディカルチェックがあったんですけど、キャプテン(筒香)とヤスアキくん(山崎康晃)が声をかけてくれたんですよ」と笑顔を見せた。

 あれから7カ月。今では若いチームに完全に溶け込み、石川雄洋とともに「二番・セカンド」としてチームには欠かせない重要なピースとなっている。5月の誕生日にはロッカーにバースデーケーキが用意されていて感激した。7月8日の中日戦(ナゴヤドーム)では、通算1000安打を達成。「あきらめかけていたところだったので、チャンスをもらった球団はじめ、監督、GMに感謝したい」と喜びを語った。

 移籍1年目に掲げたスローガンは『WITH YOKOHAMA.』。プロ13年目のいぶし銀が新天地で輝きを放っている。

文=滝川和臣 写真=内田孝治
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