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2017甲子園リポート

作新学院、深紅の大優勝旗に込められた思い

 

優勝旗を返還する作新学院・添田主将


 複雑な思いが交錯していた。

 台風により1日順延された8月8日の夏の甲子園開会式。前年優勝校の作新学院(栃木)・添田真聖主将(3年)が深紅の大優勝旗を返還した。

「先輩の偉大さをあらためて感じました。全員で返すのが目標だったので、ひとまず達成できたので良かったです」(添田)

 作新学院は昨夏、北海(南北海道)との決勝を制して54年ぶりの全国制覇。一連の取材を終えて、甲子園を引き揚げる際、岩嶋敬一部長が大事そうに歴史の詰まった大優勝旗を抱えているのが印象的だった。

 説明するまでもなく、代わりはない。この1年間、さまざまな行事で披露される場面があったが、その際の取り扱いも、厳重な注意を払ってきた。すでに60年近く使用し、老朽化が激しく、保管にも最大限の気を使わなければならなかったという。

 無事に返還を終えた岩嶋部長は、ホッとした表情に見えた。そのすぐ横にはレプリカを収納するケースがあった。ようやく肩の荷が下りたのでは? と聞くと、こう返答した。

「それもありますけど、寂しい気持ちのほうが大きい。また、持ち帰りたいですね」

 レプリカは大会終了後に地元・宇都宮の学校に飾られる。岩嶋部長に「(連覇を遂げて優勝旗と)2つだと良いですね?」と振れば、「そこまでの力はないですよ」と謙そん。だが、作新学院は2011年夏から7年連続出場。作新学院は2日目の第1試合(1回戦)で盛岡大付(岩手)と対戦するが、この甲子園に照準を合わせてきており、史上7校目の「夏連覇」へ期待はふくらむばかりだ。

 ちなみに深紅の大旗は来夏の「第100回大会」で新調されるという。1958年(第40回大会)から使用されてきた2代目は、今夏の優勝校が最後の授与となる。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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