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巨人・阿部慎之助が変わった日。2000安打で何を語る?

 

通算2000安打まで残り3本とした巨人阿部慎之助。チームの勝利のための1本を積み重ねてきた


 鋭く振り抜いた打球がマウンド上のメッセンジャーに直撃、打球が転々とする間に巨人・阿部慎之助が一塁ベースを駆け抜ける。8月10日の阪神戦(東京ドーム)で阿部は1本の安打を追加し、通算2000安打まで残り3本とした。11日からの広島3連戦(マツダ広島)での大記録達成に向け、いよいよ最後のカウントダウンに入ったといえる。

 安田学園高から中大を経て、2001年ドラフト1位で巨人入団。巨人の新人捕手では23年ぶりに開幕先発マスクでデビューを飾り、4年目の04年には打率.301、33本塁打を記録するなど、強打の捕手として打っても欠くことのできない存在に。お立ち台で見せるハイトーンの「最高でーす」パフォーマンスもお馴染みとなり、明るいキャラクターでもファンの心をがっちりつかんでいた07年、野球人として大きく成長するための転機が訪れる。

 03年シーズン終了後に成績不振で一度、監督から退いていた原辰徳が06年に現場復帰。この年は5位で球団史上初の2年連続Bクラスの屈辱を味わうが、もう負けられない07年、原監督はチーム再建のキーマンとして阿部を主将に指名する。このときのことを阿部は今でも鮮明に覚えているという。

「監督からは年上の人はいるけど、お前が引っ張っていくんだということを言っていただきました。意識的に取り組んだのは、やっぱり、コミュニケーション、会話ですね。僕から若い選手に声をかけるのはもちろん、先輩に対してもどんなことでもいいから言葉を交わす。それまでは自分のことしか考えていなかったし、自分が必死に野球をやればいいやと思っていたわけですけど、そうではないんだと気付かされました。気付いた以上は、自分から積極的に周りに伝えていかなければ、何も変えられない。原監督には良い責任感を持たせてもらえたな、と思っています」

 主将に就任し、阿部自身も自らの振る舞いを律するようになる。お立ち台では代名詞となっていた名口調を封印し、あくまでも冷静に。自身の結果に一喜一憂することもなく、優先するのはチーム。捕手の定位置から、ベンチから、ネクストバッタースサークルから、グラウンドへは常に鋭い視線を投げかけた。

「キャラクターが変わったと言われるんですが、立場がそうさせたんじゃないでしょうか。ファンの人たちが喜ぶからお立ち台でパフォーマンスをしてほしいとも言われるけど、相手チームの人も見ているし、対戦相手には敬意を表さないといけない。そこは確かに変えた部分かもしれません。お互い必死にやった中で、勝って、ヒーローインタビューをやらせてもらっているのでね」

 その後、14年までの8年間にわたって主将を務め、その間、打撃成績も高いレベルを維持。12年には打率、打点の2冠を獲得しているが、いずれもチームの勝利のための一打の積み重ねであったことは言うまでもない。15年に坂本勇人に主将を託しても、チームの精神的支柱としてプレーを続けた。近年はケガなどの影響で成績を落としてはいるが、迫りくる2000安打はチームへの献身の結晶とも言える。もちろん、現在でもお立ち台でのトーンも控えめ。果たして大記録を達成した後、稀代の左打者はどのようなリアクションを見せてくれるのだろうか。

文=坂本 匠 写真=大泉謙也

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