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2017甲子園リポート

バタバタをプラスにした仙台育英

 

初戦突破を果たした仙台育英の主将・西巻は1年夏の準優勝を経験


 頭の中がスケジュール帳になっている。

 仙台育英の記録員・小野寺航希(3年)に甲子園出場決定以降のチーム行動を聞くと、スラスラと出てきた。8月12日、滝川西との1回戦まで、それだけ中身の濃い12日間を過ごしてきたのだ。

 本来は7月30日に決勝が行われる予定だったが、準決勝が雨天順延。30日の準決勝、仙台育英は東陵と延長15回で引き分けた。翌31日の再試合を経て8月1日、東北との決勝を勝ち上がった。

 2日の朝9時にグラウンド集合。甲子園へ持っていく荷物をまとめると、午後3時頃まで汗を流した。3日朝に出発し、4日に甲子園練習&抽選会と慌ただしい日々を過ごした。7日の開会式は雨天順延となり、佐々木順一朗監督の発案により映画を見に行った。今回が特別なわけではなく、甲子園出場の際のリフレッシュを目的とした恒例行事だという。

 8日から11日は各約2時間の最終調整。そして、迎えた滝川西との初戦は15対3と快勝した。1年夏に甲子園準優勝を経験している主将・西巻賢二(3年)は言う。

「時間はなかったですが、ギリギリだったのは逆に良かったと思います。そのままの流れで入れましたから。疲労? 休むときは休んで、しっかり切り替えて臨むことができました」

 現チームは今春のセンバツにも出場しているが、西巻は「夏は別物」と言う。

「大阪の暑さに慣れないといけない。あとは球場の雰囲気も春とは違う」。仙台育英は序盤から試合の主導権を握っていたが、相手の攻撃時にはスタンド全体から手拍子が自然発生。甲子園は劣勢のチームに対して終盤、観衆が後押しする風習があり、このゲームも夏独特のムードに包まれた。西巻は「どんなに点差が開いても何が起こるか分からない」と、ナインに危機感を植え付けた。

 2015年夏も1回戦(対明豊)を12対1と快勝して勢いに乗って決勝へ進出した。「それに近い形になった。ただ、一戦一戦を全力で向かっていきたい」。春夏を通じて東北勢初の偉業へ、仙台育英のチームリーダーは“バタバタ”をプラスにしている。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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